ヒマラヤと富士山が共演 日本からネパール被災地へ「タマゴの殻アート」
タマゴの殻を使ったモザイクアートを制作した宮城県石巻市の子供たち
今年4月のネパール大地震で被災した子供たちを元気づけようと、東日本大震災の被災地・宮城県石巻市の子供たちがタマゴの殻を使ったモザイクアートを制作した。完成したモザイクアートは、今月21日からネパールに帰国している在日ネパール大使館公式通訳、ジギャン・クマル・タパさん(36)の手で、現地の小学校に届けられる。
モザイクアートは19日、石巻市で小・中学生9人が制作。子供たちは色とりどりの絵の具で塗られたタマゴの殻を細かく砕き、板に下書きされた絵柄に沿って殻を接着剤で貼り付けていった。 約2時間半をかけて制作したA3サイズ6枚の絵を合わせると、ネパールの象徴・ヒマラヤ山脈と日本の富士山の上に両国の国旗に共通する「太陽」が昇るようすを表現した、1枚の絵が完成。小学4年生の千葉柚月さん(9)は「完成した絵を見てすごいと思った。ネパールの子たちによろこんでもらえたら」と笑顔で話した。
タマゴの殻を使った作品制作は、タパさんがネパールで栄養不足の子供たちのため、学校給食にゆでタマゴを提供している取り組み「たまごプロジェクト」の一環。ネパールの学校には図画工作の授業がなく、食べ終えたタマゴの殻を使って図工の時間をつくることで、ネパール大地震で傷ついた子供たちの心を癒そうと企画された。今後石巻市の子供たちから贈られた作品を参考に、ネパールの子供たちがタマゴの殻を使ったアートに挑戦するという。
石巻市の子供たちはこの日、作品と一緒に届けるネパールの子供たちへのメッセージビデオを撮影。子供たちからは「楽しいことを想像して、自分がまず明るい気持ちになることが大事」「普段はなかなか話せなかったことを友達とたくさん話し合うことで、心の支えになった」など、震災の実体験に基づいたアドバイスや励ましの声が寄せられた。 中学2年の松林拓希君(14)は「タマゴの殻を使って作るのは大変だったけど、一枚の絵になった瞬間に感動した。絵を見てくれた子が少しでも心に光を灯して明るい気持ちになってくれたら、周りの人も元気になっていくと思う」と、海を渡る1枚の絵に期待を込めた。 (安藤歩美/THE EAST TIMES)