生前に親が作成した遺言書が自宅から見つかった! 必要となる「検認」とは?
亡くなった後に自分の財産をどのように配偶者や家族に(場合によっては推定相続人以外の特定の人や組織・団体等に)残したいのか、自らの意思表示のために、生前に遺言書を作成しておくことが推奨されています。 例えば、親が亡くなって遺品整理をしていたところ、生前には全く聞かされていなかった未開封の遺言書が発見された場合は、勝手に開封することなく、家庭裁判所に「検認」の申し出を行う必要があります。 そこで本記事では、検認に関する手続きの流れや注意点などについて確認してみたいと思います。
検認とは?
「検認」とは、家庭裁判所で遺言書の内容や状態を明確にして、その状態を保存する手続きのことです。遺言の効力が有効か無効かの判断をする手続きではありません。その主な目的は、以下の3つです。 (1)相続人に対して遺言の存在とその内容を知らせること (2)遺言書の形状、加筆・取消・訂正の状態、日付、署名を含めた内容を明確にすること (3)遺言書の偽造、変造を防止すること そのため、自筆証書遺言の発見者(保管者を含む)は、決して開封することなく、家庭裁判所で検認を受ける必要があります。もし、検認を受けずに遺言書を開封してしまうと、5万円以下の過料を科せられる場合があります。 ただし、遺言書のなかでも公正証書遺言(公証役場にて作成、保管)の場合や、2020年7月10日から開始された、自筆証書遺言を法務局に預かってもらう「自筆証書遺言書保管制度」を利用している場合は、検認は不要となります。 ちなみに、日本公証人連合会によると公正証書遺言の作成件数は、2022年の1年間で11万1977件、法務省によると制度開始から2023年11月まででは累計6万3998 件の保管申請があるとのことです。
検認が必要となるケースは?
検認が必要である理由は、上記の過料などのペナルティーがあることとともに、その後の相続手続きに必要であることが挙げられます。 検認手続きの終了後は、家庭裁判所に「検認済証明書」を申請して、遺言書に添付してもらいます。そしてその後は、相続財産である不動産や金融機関の口座で名義変更の手続きに利用することになります。