滋賀大学、資生堂超希少な「データサイエンティスト」本気で育成する現場のリアル
《データサイエンス人材活用フェーズ》 ① 集めたデータをどう活かすかを検討中 ② データの分析が終わり、結果の活用を始めている ③ すでに積極的な利活用が行われている ■高い採用実績誇る企業の違い データサイエンス人材の争奪戦が繰り広げられる中、順調に採用を伸ばしている企業もある。採用を延ばす企業は苦戦する企業と何が違うのか。高いオファー獲得率を誇る資生堂インタラクティブビューティーでは、仕事のやりがいと収入でその魅力を伝えている。
1人ひとりの肌の状態をチェックし、肌質を科学的に判別する機械を開発、1980年代にはすでに顧客1人ひとりの肌質に合った化粧品の提案を始めた資生堂。資生堂グループが持つ様々なデータをビジネスに役立つものにするために作られたのが資生堂インタラクティブビューティーだ。 グループ全体がデータを基に意思決定を行うデータドリブンカンパニーとなるための根幹を支える組織として、ITコンサルティングファームであるアクセンチュアとのジョイントベンチャーとして立ち上がった。
大手企業の中には、データサイエンティストを自社で抱えるのではなく、データサイエンス人材を多く抱えるIT専門集団に任せるという所もあるが、資生堂は内製化の道を選択している。 理由は明快だ。ビューティー領域のメーカーのため、美容に対する知見がなくてはお話にならない。外部パートナーはITに関してのエキスパートであったとしても、ビューティービジネスについての知識を持ち合わせてないことがほとんどだ。 その点、社内にデータサイエンスの専門家がいれば、データの裏側にある背景・経緯を踏まえたうえでデータ分析、インサイトの提供が可能となる。また社外の専門家に任せるよりも各段に速く分析結果を実行フェーズに落とし込めるため、ビジネスを加速することが可能になるという。
同社はデジタルマーケティングとITの2つをビジネスの柱に据えて活動している企業だが、いずれのチームでも重要視されているのが自走・自立する力だ。半期ごとにスキルアセスメントを実施し、社員の力の底上げを図っている。こうした研修の充実具合も求職者には魅力に見え、採用を有利にしている。 ■データサイエンティストのキャリア形成 新規の採用に加えてもともといた社員に対してのスキル強化も始めている。資生堂を母体として生まれた同社には、新たに採用した人の他、資生堂から異動した社員もいる。こうした社員の中にはビューティー分野に関する知識は豊富なものの、デジタルマーケティングや、IT知識についてはこれからという人も多い。そのため、各自がどの程度のスキルを持っているか、定量的にトラッキングする仕組みを作り、力の底上げを図っているのだ。