滋賀大学、資生堂超希少な「データサイエンティスト」本気で育成する現場のリアル
理系学部の専門職といえば、応募条件として修士以上を求められることが多いのだが、データサイエンティスト枠の場合、大卒からの応募が可能でその上、初任給は修士卒並の35万円スタートだ。同社の総合職と呼ばれる枠の採用と比べて月に12万円もの差があった。 以前、取材で訪れたある大手メーカーの担当者は 「会社によっては(データサイエンス人材を)100人規模で募集をかける所もある。弊社のように数人単位の採用では就活中の人の目に留まりにくいため、採用はなかなか難しい」
と漏らしていた。 ■修士並の力をつけるカリキュラム そうした状況の中、この会社は新たな取り組みをスタートした。インターンシップ制度を設けて滋賀大学と連携、一本釣りで採用に繋げているという。 「インターンとして来てくれた学生は学部生だったのですが、修士並の力があり驚きました」 と担当者。実際、インターンシップがきっかけで入社を決める学生も出ている。 なぜ、修士並の力があるのか。答えはカリキュラムにあるようだ。
データサイエンスは文系の学部で扱われることも多いが、数学の知識もかなり必要なため、大学によっては理系学部の中にコースを置くところもある。 一般的な理系学部では、学部生は基礎科目、修士から専門科目となる所が多い。ところが、データサイエンスは文理融合の科目。どちらかと言えば理系に近いが、カリキュラムの組み方は文系学部に近い。 例えば、経済学部を基盤にデータサイエンス学部を創設した滋賀大学では、学部の段階で専門科目の講義が取れるようにカリキュラムが組まれている。実際のデータを使った演習的な授業もある。学部生でも修士レベルの力が身に付くのはこうしたカリキュラムが大きく関係しているようだ。
データサイエンティストの育成が本格的に始まった日本。だが、入江教授は採用活動は活発化してきたものの、企業におけるデータサイエンス人材の活用フェーズは会社によって大きく違うと話す。 「ひとつは、集めたデータをどう活かすかを検討中だという会社。ここでは採用は始まっているものの、どう働いてもらうかはこれからという段階の所が多いです。次が自社の持つデータの分析はすでに終わり、結果の活用を始めている所です。最後にくるのが、これらを基に積極的な利活用が行われているという所です」