国立大、法人化で競争力低下…学術統治が節目を迎えている
学術会議のあり方注視
この法人化の流れは日本学術会議で再現されようとしている。内閣府の特別の機関である学術会議も内閣府の外に出され、運営助言委員会や選考助言委員会などを設置する政府方針が示されている。運営助言委員会は会員および連携会員以外の者が過半数、選考助言委員会と日本学術会議評価委員会は外部の有識者で構成される。 運営の自由度を高めるために外部資金の獲得が推奨されている。ただ現在の学術会議の会員はみな大学や国研に所属し、学術会議は兼任の形で参加している。このままでは大学と学術会議の両方から外部資金を稼ぐよう求められる。研究機能はなく、科学的助言で稼ぐためにかえって特定の組織への依存度が高まるリスクがあると懸念されている。 本来、学術会議は大学と政府の双方に対してけん制する役割がある。大学へは学問の自由の濫用を抑え、政府へは学問の自由を脅かす政策は控えるよう提言できる機関だった。法人化を機に学問の自由や学術共同体の自律がどう推移するか注視される。