平間壮一「帰ってきたよ!」、Microにとっては“3度目の正直”の「イン・ザ・ハイツ」開幕
「Broadway Musical『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』」が、昨日9月22日に東京・天王洲 銀河劇場で開幕した。 【画像】Broadway Musical「IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ」より。(撮影:引地信彦)(他22件) 原案・作詞・作曲をリン=マニュエル・ミランダ、脚本をキアラ・アレグリア・ウデスが手がけた本作は、2008年度のトニー賞で最優秀ミュージカル作品賞を含む4部門で受賞したミュージカル。2021年にはジョン・M・チュウが監督した映画「イン・ザ・ハイツ」が公開された。ミュージカルの日本版は2014年に初演、2021年に再演され、今回は3度目の公演となる。 物語の舞台は、アメリカ・ニューヨークのワシントンハイツ。ドミニカ系移民のウスナビは両親が遺した雑貨店を守りながらドミニカに暮らすことを夢見ているが……。ウスナビ役をMicro(Def Tech)と平間壮一がWキャストで演じ、タクシー会社で働くベニー役を松下優也、タクシー会社経営者夫妻の娘ニーナ役をsara、ウスナビが恋心を寄せるヴァネッサ役を豊原江理佳が務める。演出・振付を手がけるのはTETSUHARU。 日本版の初演から出演しているMicroは「日本において3度目の『イン・ザ・ハイツ』ですが、僕にとっては3度目の正直でもあります。初日を迎えて、来てくださったお客様が何度でも観たくなるような作品にしたいですし、そのために僕ら一人一人がステージで輝いていなければいけないと思います」とコメント。2021年版にも出演した平間は「皆さんにとってのホームでもあるように、帰ってきたよ!と伝えられたらいいと思いますし、初めて観る方にはまた新しい居場所ができたと思ってもらいたいと思っています」と意欲を見せた。 上演時間は休憩ありの約2時間40分。東京公演は10月6日まで。その後、12・13日に京都・京都劇場、19・20日に愛知・Niterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール、26日に神奈川・大和市文化創造拠点シリウス 1階芸術文化ホール メインホールで上演される。 TETSUHARU、松下、sara、豊原、エリアンナ、MARU、KAITAのコメント、Micro、平間のコメント全文は以下の通り。 ■ TETSUHARU コメント ありがたいことに今回3回目の上演ということで、再演から続投していただいている方、はじめましての方たちも含めて、キャストに恵まれているなと思っています。 パワフルで鮮やかで、個性的な方々が揃っていることもあり、各所に見どころが存在していて、素晴らしいパフォーマンスを見せてくださっているので、皆さんの素晴らしいエネルギーとパフォーマンスを十分に楽しんでいただけるような作品になっていると思います。 各ジャンルのスペシャルな方々に参加いただいたということが今回の作品にとってプラスに働いていて、ダンスしかり、歌やお芝居全てにおいてリニューアルされた中でブロードウェイミュージカルの歴史や作品においての在り方をキャストの皆さんと話し合いながら大事に作り上げてきました。 日本版の「イン・ザ・ハイツ」をぜひ劇場で体感していただきたいです。 ■ Micro コメント 3度目の「イン・ザ・ハイツ」は完璧なものになりました。今回のカンパニーは、とにかく歌がスゴい! 最終稽古で僕はMARUさん演じるピラグア屋の歌で大泣きしました(笑)。(豊原)江理佳ちゃんも、saraちゃんも、エリアンナさんも、(松下)優也くんもそうですが、みんなピカイチです! KAITAくんが入ってきてくれたことによって踊りにも言うことがございません。とにかく凄いです! KREVAさんの訳詞も素晴らしいんです。映画を見ながら1曲目の「IN THE HEIGHTS」をKREVAさんの訳詞に合わせて歌ってみても全く差がありませんでした。海外の映画作品など、字幕と吹き替えで変わってしまうものも多いですが、「イン・ザ・ハイツ」は寸分違わず狂いがないというか、言語を超えているなと思います。思想・哲学・音楽などを凌駕してくると確信しています。 稽古場での出来事でいうと、「BLACKOUT」という曲のときに、曲中は暗闇になるので着替えていたら突然明かりがついてみんなの前でパンツ一丁になってしまったことがありましたね……(笑)。ハラスメント講習を受けた後に稽古場コンプライアンス違反をしてしまいました(笑)。 日本において3度目の「イン・ザ・ハイツ」ですが、僕にとっては3度目の正直でもあります。初日を迎えて、来てくださったお客様が何度でも観たくなるような作品にしたいですし、そのために僕ら一人一人がステージで輝いていなければいけないと思います。 (平間)壮ちゃんのおかげでウスナビの人間力が高まりました。僕は目の前の人に尽くし抜くこと、楽しませること、喜ばせることが人間力だと思っていています。ここを徹底してカンパニーの皆さんと最後まで走り抜いていきます! ■ 平間壮一 コメント 今回のカンパニーの魅力は、怖いもの知らずが多いというか、勢いで突破して体当たりで舞台に向かっているところが素晴らしいと思っています。恥ずかしいとか、これでいいのかな?とかそういうのは一切なく、みんな元気で仲良くて優しい人がいっぱいいます。ただ、その裏には人の痛みや寂しさ・自分自身の居場所を探し続けている人たちなんだろうなという人柄も大いに出ていて、今回の「イン・ザ・ハイツ」はいいものになっていると思います。 作品力がすごくある分、役者は頑張ることがそんなになくて、むしろ頑張り方が違うところがあります。セリフにどれだけ感情を込めるか? どう素敵に見せるか?というものが邪魔になってきたりするんです。音楽とセリフ、ラップ、演出と作ってきたスタッフさんに感謝し、リスペクトして舞台に立つだけで素敵なものになる、というか、それが一番難しいのですが、無駄なことをせず、ただ目の前にいる人がウスナビだ、ベニーだと信じてそれだけで物語が進むという、ものすごくシンプルだけど難しい事をやっているので、その部分を素直に頑張り、作品の素敵を伝えていきたいです。 キャストのみんな、そして一緒に作ってきたスタッフさんたちの気合いがビンビン伝わってくるので、最終確認をして初日を迎えたいと思います。皆さんにとってのホームでもあるように、帰ってきたよ!と伝えられたらいいと思いますし、初めて観る方にはまた新しい居場所ができたと思ってもらいたいと思っています。いまの世界はみんな徐々に受け入れ態勢ができていると思うのですが、いろんな人種やいろんな人たちが集まった時に、人を思って動くというのは難しかったりするのかな?と思うので、次のステップに向かうためにも、他人のことを想って、隣の人のことを想って、会ったことのない人のことを想って生活し、一人一人がその優しさを増やしていけば世界が変わっていくんじゃないかなと思います。この舞台を観てそんなことを思ってくれたら嬉しいなと思います。 ■ 松下優也 コメント 10年前の初演の時は、今ほどミュージカルをやっていなかったので、ミュージカルに対してアウェイな気持ちがどこかにある中での参加でしたが、作品的にはホームのような感覚も感じていました。ただ、この10年の間でお芝居やミュージカルをやらせていただくようになって、過去を振り返ると、音楽が素晴らしかったり、パフォーマンスが派手だったりする分、初演は勢いだけでやっていたなと思います。今回は、その楽曲の素晴らしさだったり、パフォーマンスに繋がっていく芝居の根本の部分に重きをおいてやりたいなと思ったので、自分的には再構築して作ったという感じがしています。 あと分かりやすく変わったことは、履いている靴がブーツからスニーカーに変わりました! スーツスタイルでもスニーカーを履く方がベニーらしさがあると思ったので、靴を変えるのはどうかと提案しました。 ■ sara コメント 稽古が始まったばかりの頃は、お父さんとお母さんにニーナとして大事なことを話すシーンがガチガチに緊張してる状態だったのですが、稽古期間中に戸井さんと彩吹さんにご飯に連れて行っていただいたり、役者の先輩としても両親役としても、もがいている自分を包み込んでくださるように接してもらえたことで、私としても役を超えたものが生まれていく感じがしているので、感謝しかないです。お二人に芝居でスパークさせられるようにこれからの本番で出していきたいと思います。 ■ 豊原江理佳 コメント ずっと「イン・ザ・ハイツ」のヴァネッサ役に憧れていたので、ヴァネッサが1人で歌う「It Won't Be Long Now」をステージで歌ったときに、客席に小学生の頃の自分がいるような気がして、「私、ここでヴァネッサを演じてるんだ」と夢なのか現実なのか不思議な気持ちになって、すごくその頃の自分に誇らしい思いで今回の舞台に立ちたいと思います。今日は異常なほどに緊張しているのでいつもどおりのびのびと、仲間のみんなを信頼してパフォーマンスしたいと思います。自分が大好きなこの作品をたくさんの方に観ていただけるのがすごく楽しみです。リラックスしながら私もスパーク出来るように頑張ります。 ■ エリアンナ コメント 私は日本上演版に3回出演させていただいているのですが、今回も最高にパッションにあふれた作品になっています。 この「イン・ザ・ハイツ」は、リン=マニュエル・ミランダさんが創られた素晴らしい楽曲とストーリーですが、私がこの作品に感じているのは、移民問題であったり、ニューヨークの話であったりと、日本とはベースは違いますが、“人間賛歌”だな、人生をセレブレートしている作品だなと感じています。それは世界どこでも共通していることだと思いますし、その“喜ばしいこと”も、”今を生きている”っていうことも、年代も年齢も肌の色も関係なく全員に伝わることだと思いますし、日本版10年目のいまも、それはずっと色褪せてないなと思っています。 2024年の「イン・ザ・ハイツ」は、ステージに立っている私たちも、観に来てくださる皆様にとっても、セレブレーションのある空間にしたいなと思っております。スタッフ・キャスト一同、情熱をこめてお届けいたします。ぜひ受け取りに来てください! ■ MARU コメント これまでブロードウェイ版や映画版では男性が演じてきて、今回初の女性ピラグア屋ということで、稽古前はどうすればいいのかな?と思っていたのですが、ピラグア屋はストーリーとは関係ないシーンが多くて、男だから女だからというよりは、自分が唄う歌でシーンの色が変わるというか、そういう役回りが大事なのかなと思うようになったので、ピラグアの“売るぞ!”という奮い立つ気持ちを意識して歌うようにしています。 新しいムーヴメントを今日から始めたいと思いますので、一緒に感じに来てください! ■ KAITA コメント (松下)優也くんだったり、Microさんは以前からダンサーとしての自分を見て下さっているので、お二人は違いを感じてくださっていると思うのですが、ダンサーの時は胸を張って自信をもって取り組むことができますが、今回稽古が初めてだったので右も左もわからない状態で、たくさんご指摘をいただいて、演技ってどうやったらいいんだろう、踊りとミュージカルってどういうふうに取り組めばいいだろうと、自分の中で模索していました。でも最終的には、今まで自分が培ってきたダンサーとしてのヒップホップマインドとか、ダンサーとして大事にしているものを、グラフィティ・ピートに投影させることが、僕が出演することの意味であると思うし前回の「イン・ザ・ハイツ」よりレベルアップしたものできるのではないかと思うので、そういうところを意識して今日からやっていこうと思っています。初ミュージカルということで、今日から上下左右、隅から隅まで踊り狂いたいと思います! ■ Broadway Musical「IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ」 2024年9月22日(日・祝)~2024年10月6日(日) 東京都 天王洲 銀河劇場 2024年10月12日(土)~2024年10月13日(日) 京都府 京都劇場 2024年10月19日(土)~2024年10月20日(日) 愛知県 Niterra日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール 2024年10月26日(土) 神奈川県 大和市文化創造拠点シリウス 1階芸術文化ホール メインホール □ スタッフ 原案・作詞・作曲:リン=マニュエル・ミランダ 脚本:キアラ・アレグリア・ウデス 演出・振付:TETSUHARU 翻訳・訳詞:吉川徹 歌詞:KREVA 音楽監督:岩崎廉 □ 出演 ウスナビ:Micro(Def Tech) / 平間壮一 ベニー:松下優也 ニーナ:sara ヴァネッサ:豊原江理佳 ソニー:有馬爽人 ダニエラ:エリアンナ カーラ:ダンドイ舞莉花 ピラグア屋:MARU グラフィティ・ピート:KAITA ケヴィン・ロザリオ:戸井勝海 カミラ・ロザリオ:彩吹真央 アブエラ・クラウディア:田中利花 ハイツの人々:SHUN / MAOTO / LEI 'OH / 鈴木恒守 / SATOKO / MORI / TokoLefty / 根岸みゆ / 秋野祐香