人間国宝の作品一堂に 「沖縄の染と織」展始まる 市民会館
石垣市出身の元角川書店専務、桃原用昇さん(82)=東京都在=のコレクションを集大成した「沖縄の染と織の至宝~桃原用昇コレクション八重山展~」(主催・石垣市、沖縄美ら島財団など)が2日から市民会館中ホールで始まった。2~8日の前期、11~20日の後期に分け、国指定重要無形文化財保持者(人間国宝)7人、県指定重要無形文化財保持者2人の計9人が精魂を込めた染織作品114点が展示される。 オープニングセレモニーで中山義隆市長は「9人の作品が一堂に展示されるのは県内で初めての快挙。作品の魅力を存分に楽しんでほしい」とあいさつした。 展示品は桃原さんが21年かけて収集した傑作群。あいさつに立った桃原さんは、昨年10~11月に県立博物館・美術館(那覇市)でもコレクション展を開催したことに触れ「昨年の規模を上回り、二度とできないような展示。特に小中高校の若い人に見てほしい。できるだけ早く芸術に触れることが人間形成に役立つ」とアピールした。 沖縄美ら島財団の湧川盛順理事長、石垣市商工会の大濱達也会長もあいさつ。市在住で人間国宝の指定を受けた八重山上布の作家、新垣幸子さんも姿を見せ、桃原さんらとテープカットした。 出展されているのは新垣さん、「型絵染」の人間国宝・鎌倉芳太郎さん、「紅型」の人間国宝・玉那覇有公さん、「首里の織物」の人間国宝・宮平初子さんと祝嶺恭子さん、「読谷山花織」の人間国宝、與那覇貞さん、「芭蕉布」の人間国宝、平良敏子さん、「びん型」の県指定無形文化財保持者・城間榮喜さんと藤村玲子さんの作品。 県立博物館・美術館では87点が展示され、約7千人が来場した。八重山展はさらにスケールアップ。展示品を入れるガラスのケースなどは置かず、来場者は色鮮やかで精妙な織物の数々を間近で見ることができる。訪れた人からは「ため息が出る」という声も上がっていた。 後期には、一部を除き展示品を入れ替える。 来場者の1人、森永梢さん(73)は「圧巻の思い。人間国宝の先生の作品は究極の技法でつくられ、島の香りを感じる。毎日来たいくらいで、後期も楽しみ」と話した。