パリ五輪で期待される株価上昇 金10個以上なら8割以上の確率 開幕まであと1カ月
パリ五輪開幕まで26日であと1カ月を迎える。日本代表の活躍とともに注目されるのが株価の動向だ。過去を振り返ると、日本の金メダル獲得数が10個以上となった夏季五輪の開催期間中は8割以上の確率で株価が上昇した。パリ五輪でも日本のメダルラッシュが実現すれば、株価上昇は大いに期待できそうだ。 ■上昇幅最大はミュンヘン大会の4・8% 「五輪やサッカーワールドカップといったスポーツの国際大会で日本人選手が活躍すると、投資家の心理も明るくなり、株価が上昇する傾向にある」。ニッセイアセットマネジメント投資工学開発センター長の吉野貴晶氏はこう分析する。 ニッセイアセットが、日本が戦後参加した夏季五輪を対象にまとめた資料によると、金メダルを10個以上獲得した7大会のうち6大会で開催期間中の日経平均株価騰落率はプラスとなった。上昇幅が最も大きかったのは、男子の体操やバレーボールなどで13個獲得した1972年のミュンヘン大会の4・8%だった。 女子バレーボールの「東洋の魔女」などの活躍で16個獲得したにもかかわらず唯一マイナスだった1964年の東京大会は開催当時、五輪特需がピークを過ぎており、「一時景気が後退した影響を受けた」(吉野氏)という。 ■日本勢活躍で株式市場に活気戻るか 一方、新型コロナウイルス禍で1年延期となり、無観客開催を余儀なくされた2021年の東京大会で、日本は過去最多となる27個の金メダルを獲得。日本柔道史上初のきょうだい同日制覇を果たした阿部一二三(ひふみ)、詩(うた)両選手らの活躍が日本中をわかせ、日経平均は1・2%上昇した。 パリ五輪で日本人選手が活躍すれば、所属企業やスポーツ用品メーカーなどが株価上昇の牽引役となりそうだ。 代表内定選手の顔ぶれを見ると、所属企業の業種は多岐にわたる。阿部一二三、詩両選手はパーク24、女子やり投げの北口榛花選手は日本航空、男子ブレイキン(ブレイクダンス)の半井重幸選手(ダンサー名・Shigekix)は第一生命ホールディングス傘下の第一生命保険に所属する。男子バレーボールの高橋藍選手は7月にサントリーに入団する。 日経平均株価の25日終値は3万9173円15銭。3月に4万円を超えて史上最高値を更新して以降は勢いを欠いているが、日本勢が活躍すれば、選手がCMキャラクターを務めたり、愛用する商品が売れる可能性がある。そうなれば株式市場も再び活気づきそうだ。(宇野貴文)