桂雀々さんが大物ミュージシャンたちに愛された理由 スタレビ根本要「共通のロック魂があった」
人気バンド「スターダスト☆レビュー」の根本要(67)が22日、スポニチの取材に応じ、20日に糖尿病からの肝不全により64歳で死去した落語家・桂雀々(かつら・じゃくじゃく、本名・松本貢一=まつもと・こういち)さんを悼み、その魅力を語った。 “雀さん”と呼ぶ40年来の親友で、亡くなったその日に訃報を聞き、ひどく落ち込んだという根本。急な知らせに信じられない思いとともに、雀々さんらしい生涯の閉じ方だったともだったとも感じたという。 「生きたいように生きる、というと言葉が過ぎるかもしれないけど。芸人として自分自身を大切にしてた。人と話し飲むことで見識を深め、人に対する思いを深めてきたような人だから」と雀々さんの生きざまを振り返り、「糖尿病でお酒をやめろと言われても、簡単にはできなかったと思う。それが結果的に彼の寿命を縮めてしまったのかもしれないけど、今思うと悲しいけど、最後まで雀さんは雀さんのままだった」と評した。 糖尿病で入院した後でも、「会えば何一つ全然変わらずに“飲みに行こうや”って。“あんた飲めないじゃん”“いや、2杯までならええねん”って」と、変わらず明るく誘ってきたという。「いざ行ったら3杯目飲みながら“今、2杯目か?”って。彼にとっては最高の時間だったんだと思うんですよね」。 雀々さんは、根本をはじめ、山下達郎や桑田佳祐といった名だたるミュージシャンと親交が深かった。なぜ畑違いの天才たちに愛されたのか。 「もともと達郎さんが雀さんのことを気に入ってたらしくて、それで呼ばれて落語会やったりとか。そこに桑田さんも呼んで…なんて聞いたなあ」と根本。「古典落語って枕はあれど、ある種クラシックに近い。でも雀さんの落語って僕らのロックやジャズ的な、その場の空気でどんどん変わっていくような…。熱の入り方が恐らく僕らのライブに近い。僕は隣にいてそれをいっつも感じてた」と、ミュージシャンにシンパシーを抱かせる魅力があったようだ。 「落語はひな形があって、それをアレンジする。雀さんの場合は思いきったアレンジをしてて。極端にデフォルメしたり、ウケたらウケただけやる人だから。そこは僕らと共通のロック魂があった。ある種、一匹狼的なね」と根本は指摘する。 「雀さんのは目をつぶって聴くのがもったいない落語。僕が聞いた話では、師匠の枝雀さんさえ、雀さんの落語に影響を受けたって話」と笑い、「なんとしても笑わせたれ、みたいな思いを雀さんからいつも感じた。しんみりしたのが嫌いだったからね。なんかオモロイ事ないか~、と」と、笑いにどん欲で型破りな高座も無二の魅力だった。 「60代、これからどんどん落語が熟成していくって時に、亡くなってしまって。とても残念ですね。もっと見たかった」と惜しんだ。