ミスチルの名盤も生まれた─小林武史が「音楽人生の大きな部分を占めている」と語る経験とは?
モルディブの海でしか得られない感覚がある
続けて小林は、プライベートで訪れた海にまつわるエピソードを語った。 小林:2000年以降に行ったところで象徴的な場所の話を。僕がやっている畑とか野菜とかに繋がってくることはなくもないけど、もっと直接的に変わったと思っているのは、やっぱり「リゾート」なんです。僕は水泳が大好きで、そこが高じてスキューバダイビングもやるようになったんですね。スキューバダイビングでリゾートに何回も行くようになると、太陽光とともに生きる暮らしになるじゃないですか。考えてみるとね、僕はもっとも太陽光と縁から遠い暮らしをしているんだってことがわかるわけ(笑)。 葉加瀬:(笑)。 小林:起きるのが昼だしね。 葉加瀬:音楽をやっているとそうなるもんね(笑)。 小林:午後から仕事をスタートして夜中までスタジオだから太陽光を一切見ないでしょ。よく考えてみれば、僕らの目の前にあるようなものも、おおむね太陽があるおかげで(存在している)というのがあって。太陽とともに暮らす豊かさはあるなあと。 葉加瀬:スタジオワークだと太陽光が必要ないですもんね。僕の場合はコンサートだから旅が多くて、移動しているあいだは外にいますけども、楽器弾きは基本的に家の中とスタジオとコンサートホールにいるので、僕は5、6年ぐらい前から魚釣りを始めました。 小林:いいですね。 葉加瀬:朝が早いから5時ぐらいには港にいるわけで。朝日が見られるし、海の上にいると大概のことがどうでもよくなるんですよね(笑)。 小林:けっこう上達しました? 葉加瀬:そうだと思います。僕はマダイだけ釣っているんですけど、去年は183枚釣りました。 小林:すごい! 僕も人生の中に釣りが入ってきたらいいなって何回もトライしたけど、本当に続かない(笑)。向き不向きってありますね。 小林はスキューバダイビングで印象に残った海として沖縄とモルディブを挙げた。 小林:沖縄は本当に素晴らしいですね。最近はコロナ禍もあって行けていないけど、今年時間を取っていきたいなと思っているのはモルディブなんですよ。ダイバーの中では当たり前のようにモルディブと言うけれど、あの場所にしかないものがある。たとえば、1つのホテルが1つの島にある。その周りが全部コーラルになっていて、青い目玉焼きみたいになっているんですよね。 葉加瀬:そうだね。目玉焼きの白身の部分がサンゴで黄身がコテージのある陸地になっている。 小林:僕は潜るだけじゃなく泳いで島を一周したりもするんですよ。カメやサメなどいろんな生き物がいて、これこそ“地球の醍醐味”というか、繋がりを感じながら泳げる場所はモルディブしかない。 葉加瀬:そうですね。美しい海と聞かれたら、僕もモルディブって答えます。何度も行きましたけども、あそこまできれいな海はなかなか見られないですよね。 小林:とはいえ気候変動の影響を受け始めているところなんでね、切ない部分はあります。みんなで解決しないといけない問題です。 葉加瀬:本当にそうですね。