PK助走でまさかの“足踏み30回”「テクニックの1つ」 元代表も驚愕した独特スタイル「自信がある」【見解】
「この蹴り方に慣れているからこそ、完全な駆け引きの勝負だったと思います」
2024年もサッカー界では数々の名シーンが生まれた。11月2日、国立競技場で行われたルヴァン杯決勝でアルビレックス新潟のFW小見洋太の独特なPKもその1シーンだろう。約30回にも及ぶ足踏みという特徴的な助走から、見事に右隅に流し込んだ“珍PK”に、SNS上は「クセ強な助走から決めた」「その助走は外すと思った」とが大きな話題を呼ぶことになった。 【実際の映像】足踏み30回「その助走は外すと思った」 小見洋太が衝撃PKを決めた瞬間 新潟は名古屋グランパスに1-2と追い込まれた後半アディショナルタイムにPKを獲得。PKスポットに立った小見は小刻みな足踏みで少しずつ助走を進め、GKの逆を突いてネットを揺らした。このPKと小見の独特の助走を、元日本代表でジュビロ磐田、ベガルタ仙台でプレーした太田吉彰氏は改めてこう解説する。 「PKで選手にとって大事なのは自分のタイミング。この蹴り方に慣れているからこそ、完全な駆け引きの勝負だったと思います」と分析し「こういう蹴り方したことはないのでちょっと分からないですけど、ゴールキーパーとの我慢比べで、自信があるからこそのこのキックの仕方だと思います。ギリギリのところまでキーパーの動きを見ていて、確実にキーパーの逆を突くというのを意識しているんだと思います」と、小見の狙いを読み解く。 「PKはゴールキーパーが止める確率の方が少ない。最後までしっかりとゴールキーパーを見つつ、コースを突ければ、ほぼ取られることはない」と太田氏は語る。小見のPKスタイルも「駆け引きの中でのテクニックの一つ」と評価。この試合、2度追いついて延長にまで持ち込んだ新潟。結果的に試合には敗れたものの、小見が独特のスタイルで魅せたこの一瞬は、2024年の記憶に残るシーンの1つだった。 [プロフィール] 太田吉彰(おおた・よしあき)/1983年6月11日生まれ、静岡県出身。ジュビロ磐田ユース―磐田―仙台―磐田。J1通算310試合36得点、J2通算39試合4得点。トップ下やFW、サイドハーフなど攻撃的なポジションをマルチにこなす鉄人として活躍した。2007年にはイビチャ・オシム監督が指揮する日本代表にも選出。2019年限りで現役を引退し、現在はサッカー指導者として子どもたちに自身の経験を伝える活動をしている。
FOOTBALL ZONE編集部