シリア・アサド政権崩壊から1週間 国民融和、諸外国の協調…課題が山積
■隠匿された化学兵器を発見・廃絶する好機
アサド政権の崩壊は隠匿された疑いがある化学兵器を発見し、廃絶する好機でもある。政権は2013年8月に首都ダマスカス近郊への攻撃で猛毒の神経剤サリンを使用し、民間人千人以上が死亡したとされる。
政権は同年10月、化学兵器の開発や生産、保有を禁じる化学兵器禁止条約に加盟。化学兵器禁止機関(OPCW)はアサド政権の申告に基づいてサリンやVX、マスタードガスなど千トン以上を廃棄したが、使用疑惑はその後も浮上した。
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は化学兵器の使用事例が徐々に減ったことから、現存する化学兵器は比較的少量で、安全な調合方法を知らない限り兵器として使用するのは難しいとする専門家の見方を紹介した。とはいえ、何者かが盗んで悪用する可能性が消えたわけではない。(中東支局 佐藤貴生)