河村勇輝・バスケットボール「昨日の自分より今日の自分が少しでも成長できたというところにフォーカスすることが大事」
パリ五輪で男子バスケットボール日本代表として躍動した河村勇輝が明かす、NBAにチャレンジする覚悟。 【写真を見る】パリ五輪の激闘をプレイバック
河村勇輝「自分で意見を出していかないといけない」
パリ五輪のバスケットボール日本代表は、東京五輪に続き銀メダルを獲得したフランス代表と1次リーグ第2戦で対戦。試合終了の残り10秒までリード、大金星はすぐそこ、まさに土俵際まで強豪を追いつめた。 延長戦の末、90対94で競り負けてしまったけれど、この試合で29得点と、チーム最多得点を記録したのが身長172cm、全登録選手のなかで2番目に身長が低い河村勇輝だった。武道家のように背筋をピンと伸ばした河村は、インタビュアーの目をしっかりと見つめながらこう振り返った。 「僕の強みはスピードとクイックネスなので、そこはフランス戦でも充分通用したんじゃないかと思います。昨年のワールドカップでスリーポイントシュートの精度が課題だと感じてから練習を続けてきて、そこもしっかりと成果を出すことができました」 いっぽうで、フランス戦では後半終了間際の自身のファールで流れが相手に傾く。このファールについては誤審という声もあがったけれど、試合後の河村は「自分の責任です」と言い訳をしなかった。ゲーム中にリーダーシップを発揮する姿からも、23歳という若さでありながら、チームを引っ張るという意思が伝わってくる。 「コートに入ったら年齢は関係ないと思っているし、フランスのホームだから1秒でも気を許したら流れを持っていかれてしまう。チームが攻める姿勢を保つためには、ポイントガードが先頭に立たないといけないと思っているので、そこは自分の役割でした」 世界的には無名の存在だった河村ではあるけれど、昨年の国際大会や、このフランス戦を契機に海外のメディアやバスケファンからも注目されるようになった。そしてこの秋、河村はNBAに挑戦するために渡米、メンフィス・グリズリーズのトレーニングキャンプに参加する。 「マイケル・ジョーダンが好きで、NBAに憧れを抱いていました。でも中学、高校とプレイを続けてバスケの難しさを知ると自分がプレイする姿がイメージできなくなったんです。NBAに挑戦したいと思うようになったのは、ここ2、3年ですね」 日本人のNBA経験者からは、なにかアドバイスのようなものはあったのだろうか。 「まずルールが違って、Bリーグは40分ですがNBAは48分、スリーポイントのラインも違います。そこにアジャストしないといけない。NBAは個性の強いメンバーが揃っているから、ポイントガードとして引っ張るためにはよりコミュニケーションをとって、自分で意見を出していかないといけないとも聞きました。言葉の壁という難しい問題があるけれど、そこもクリアして、徐々に成長していければいいかなと思っています」