支える人たち/下 熟練者の技で体ケア /京都
<第91回選抜高校野球 センバツ高校野球> 選手たちの体はこの冬を越えて格段にパワーアップした。近年は野球選手にとってもマシンを使った筋力トレーニングは欠かせぬようになった。福知山成美はそれをいち早く取り入れている。 毎年11月から約4カ月間、選手たちは自転車に乗って学校から約4キロ離れた福知山市土のスポーツジム「アトラス」に通う。ジムとの付き合いは30年前から。高校野球にもパワーを求める風潮が出始めたころ、同校の教員が個人的に通っていたジムを紹介したのがきっかけだった。 ボディービルダーの実績があり、日本体育施設協会認定のトレーニング指導士でもある経営者の松嶋幸一さん(68)の指導は、願ったりかなったりだ。トレーニング室にところ狭しと並ぶ器具を使って汗を流す選手たち。それぞれに合わせて松嶋さんが細かくメニューを組み、鍛え上げていった。 ◇ 福知山成美の選手たちには、更に心強いトレーニングの指導者も付いている。プロ野球の阪神タイガースで2013年まで20年間、トレーナーをしてきた石原慎二さん(55)=兵庫県宝塚市=だ。 石原さんの長男、丈路(たけじ)さん(22)=近畿大=は5年前、同校のエースとしてセンバツに出場した。そのことが縁で、選手の指導を引き受けることになった。週2回、水曜は野手、木曜は投手にストレッチやケアの仕方も教える。 センバツの開幕まであと少し。ピッチを上げて自らを追い込んでいく選手たちに、石原さんは「誰もけがをさせない。させてはいけない」と目を光らせる。【佐藤孝治】 〔丹波・丹後版〕