【現役ドラフト】巨人に移籍の馬場 皐輔 大学時に語った「もう一度自分を見直したい」
トレーニングと投球術を専門的に学び、大学球界を代表する剛腕へ
馬場は1年春からリーグ戦に登板。5試合に登板し、1勝1敗。防御率0.93の好成績。さらに、フォーム修正がうまくいき、最速150キロまでスピードアップした。 「左足を一本足で立った時のバランスを大事にしていて、特に全体的なフォームのバランス、下半身と上半身をうまく連動させることが1番大事だと思っています」 上半身と下半身の連動性は高校時代から課題にしていたことだったが、なかなかできなかった。そこで馬場は専門的なトレーナーについてもらいながら、ウエイトトレーニングを行い、基礎的な体力をつけ、3、4年生になると、野球に特化した動きを取り入れたトレーニングで、体の機能を高めた。トレーニング面の見直しが、剛速球を投げる秘密につながった。筋力、バランス能力が高まると、自分の体が意図通りに動かせるようになる。 「力みはなくなってリラックスして投げることはできるようになりました。リリースのところだけ力を入れて0と100の力加減を覚えることが出来ました」 力みがなくなると、コントロールも自然と良くなり、変化球の精度も上がり、投球の幅が広がる。大学2年生の時、馬場はあえて球速を落とし、制球力重視のピッチングを試みた。そこで学んだことは打者の打ち取り方だ。 「球速を落とすことで、打者の打ち取り方、間合いの取り方などいろいろなことを学ぶことができました」と駆け引きを学んだ馬場は、再び球速を高め、3年春、4勝0敗、防御率0.76と好成績につながった。
大学4年生でピッチングの奥深さを極め、隙なしのピッチングを展開
そして大学ラストイヤー。「色んなコース、いろんな球種を投げられるピッチャーになりたい」と臨み、4年春は2勝2敗、防御率0.33と好成績を挙げた馬場だったが、「まだ使えるコースが少ない」と反省。現在、使える球種は、カットボール、縦横2種類のスライダー、カーブ、スプリット、フォーク、チェンジアップ。 カットボール、スライダーは回転数の高さにこだわり、スプリットとフォークはストレートと同じ腕の振りで投げて落とすことに注力に置き、特に磨いてきたチェンジアップは、見せ球として使い、投球の幅を広げた。その結果、4年秋は5勝0敗、防御率0.49、37イニング60奪三振と自己最高のシーズンを送ったが、それでも馬場は「反省すべきところが多い」と満足をしていない。 それでも春から良くなった点として、「まだ完璧ではないですが、甘いコースには投げてないですし、それなりの組み立てはできるようになりました。今までに比べてメンタルが強くなり、厳しいコースにも投げられるようになったことがこのような数字に繋がったのだと思います」と手ごたえはつかんでいる。 迎えたドラフト。 「不安な気持ちもありますが、実感がわかずあまりピンと来てないです」というが、この4年間、プロにいくために、計画的な積み上げで、大学球界を代表する剛腕投手へ成長した。 「プロ入りできれば、心と体の準備をして1年目からガツガツといって活躍したいです」 普段は天然キャラと慕われる馬場だが、これまでの歩みを振り返れば、1つ1つのステージをいろいろなことを感じ、課題を見つけながら積み上げた意志の強さ、向上心の強さを感じる。高校、大学で培ったメンタルの強さを貫くことができれば、プロでも代表する速球投手になることだろう。 (インタビュー/文・河嶋 宗一)