「ゼロで乗り切ったことが勝因」GK入江ら奮闘、筑波大が早稲田大の攻勢に苦しみながらも内野航太郎のゴールで3年ぶり4強入り
[9.9 総理大臣杯準々決勝 筑波大 1-0 早稲田大 セイホクパーク石巻フットボール場] 【写真】「スタイル抜群」「目のやり場に困る」“勝利の女神”のアウェー遠征に反響 第48回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントは9日、準々決勝試合が宮城県・岩手県の各会場にて行われた。セイホクパーク石巻フットボール場第2試合は東京国際大(関東5)が早稲田大(関東10)に1-0で勝利し、準決勝の新潟医療福祉大(北信越1)戦に駒を進めた。 前半ペースを握ったのは早稲田大だった。慎重に試合に入った筑波大に対して攻撃陣が果敢に攻め立て、キャプテンFW駒沢直哉(4年=金沢U-18/横浜FC内定)やMF東廉(4年=清水ユース)、MF山市秀翔(3年=桐光学園高)らが果敢にシュートを放っていくが、筑波大はキャプテンDF福井啓太(4年=大宮U18/大宮内定)を中心に集中した守備を見せ、ゴールを割らせない。 筑波大も機を見て反撃に転じ、MF角昂志郎(4年=FC東京U-18/磐田内定)や、MF田村蒼生(4年=柏U-18/湘南内定)らのドリブル突破や、FW内野航太郎(2年=横浜FMユース)のシュートで決定機はつくったが、前半はシュート2本にとどまった。前半は双方ゴールは生まれず0-0で終えた。 後半も大きく流れは変わらなかったが、筑波大が1チャンスをものにする。後半16分、ロングフィードに対して右サイドでDFライン背後に抜け出したのはMF廣井蘭人(2年=帝京長岡高)。そしてこれを見逃さなかったのが内野。「蘭人が良い形でボールを引き出して抜け出した時、ボールが浮いている感じからファーには来ないなと思って、ニアに入ったらピンポイントでボールが来て、狙い通りの形でした」と天性のゴール感覚を発揮し、ニアに入って右足でゴール。苦しんだ中で筑波大が先制に成功した。 追いつきたい早稲田大だったが、後半20分に投入したMF松尾倫太郎(4年=八千代高)がピッチに入った直後に警告を受け、さらに同29分にも2回目の警告を受け退場となったことが響き、なかなかシュートまで持ち込めなくなっていく。試合終了間際にはDF神橋良汰(4年=川崎U-18/川崎F内定)を前線に上げてパワープレーに打って出て、駒沢からのロングボールからヘディングシュートを放つが、筑波大GK入江倫平(2年=桐蔭学園高)がキャッチし、試合終了。筑波大が苦しみながらも1-0で勝利した。 筑波大の小井土正亮監督は、「早稲田大の2回戦を見て、アグレッシブで攻撃力があったので苦しい試合になると思っていましたが、(失点)ゼロで乗り切ったのが勝因です。90分のマネジメントを意思統一してやれて、したたかに戦えました」と特に苦しかった前半を無失点で推移できたことが大きかったと振り返る。 この日は2回戦まで出場してきたGK佐藤瑠星(3年=大津高)が欠場し、代わりに入江がゴールマウスに立ったが、キャプテンの福井は「入江はチームの誰に聞いても一番練習をしていると答えるトレーニー。いつ出番が来ても良いように準備していた。瑠星が出られず苦しかったですが、やばいなというのは一切無かったです」とクリーンシート達成の入江を称えた。小井土監督も「入江は久々に公式戦に出ましたが、福井中心に落ち着きを与えてくれました」と福井ら守備陣のサポートも称えた。 「メンバーに入らなかった選手もいつ出ても良いという準備ができています」という小井土監督。長丁場で中1日、中2日という厳しい日程が続く中、総力戦で32年ぶりの優勝を目指す。 敗れた早稲田大の兵藤慎剛監督は「前半で仕留め切れなかったのが全てです。筑波さんが思ったより来なくて最初から引いてきました。進入できた回数はあったので、そこでどれだけ仕留められるかでしたが、我慢強く大人のサッカーをされてしまいました」と、筑波大の手堅い守備を崩せなかったことを悔やんだ。「クオリティを出さなければいけない部分で、向こうの守備陣が堅くやってきました。あそこで剥がさないと上は見えてきません。個として一人でも点を取れる能力の向上、ユニットでの崩しの共有、パス、クロス、動き出しの質を追求していきたいです」と課題を述べた兵藤監督。敗れはしたが、アグレッシブに果敢に仕掛けていくサッカーを見せることができ、今後はさらなる攻撃の質の向上に期待したい。