山本舞香の闇を宿したような眼差しが印象的!瀧本美織とW主演で描く、姉妹の複雑な愛憎劇「Sister」
意志の強さを感じさせる強い視線と、凛々しい雰囲気が魅力の山本舞香。2011年にTVCMで芸能界デビュー後、人気ファッション誌でモデルとして活躍。同年の夏にはドラマ出演を果たして以降、映画やドラマ、CMなどマルチに活躍中の彼女が、瀧本美織とダブル主演を果たした連続TVドラマが2022年放送の「Sister」だ。 【写真を見る】デザイナーを夢見て上京した凪沙を演じた山本舞香 デザイナーとして一人前になることを夢見て、広島から上京した三好凪沙(山本)。人気スタイリストでもある自慢の姉・三好沙帆(瀧本美織)の紹介でデザイン会社に勤務し、充実した日々を送っていた。ある日、部長の丸山(アキラ100%)からの頼みで、営業部にデザイン画を届けることになった凪沙は、高校時代に出会った初恋の相手・麻倉陽佑(溝端淳平)と再会するが、陽佑からは「初めまして」と言われてしまう。そして後日、沙帆から婚約者を紹介したい、と言われた凪沙。しかし、待ち合わせのレストランで現れたのは、陽佑だった...。 一見すると仲の良い美人姉妹を軸に、衝撃的な展開が次々と押し寄せる本作で山本が演じるのは、歳の離れた大好きな姉を頼り、憧れの職業で活躍するために東京へやって来た女性・凪沙だ。夢への第一歩を踏み出し、希望に満ち溢れている凪沙を山本は、まばゆいばかりの笑顔とはきはきした口調で表現。中でも、瀧本演じる姉・沙帆が朝の食卓に出してくれた甘い玉子焼きを大きな口で頬張る姿や、職場での前向きな姿勢を褒められた際に「私、早く一人前になりたいんです!」と宣言する場面での山本の笑顔は、観る者すべてを魅了するほどに愛らしい。 陽佑が自分を思い出してくれたことを沙帆に報告する時や、姉から結婚を前提に付き合っている彼氏を紹介したいと言われた際のまぶしい笑顔、子犬のように飛び跳ねる無邪気な仕草で、凪沙の純粋さを視聴者に印象付けていく山本。その姿がピュアであればあるほど、沙帆が陽佑を婚約者として紹介した際の驚愕の表情や、夜道で仮面をつけた男に襲われた際の恐怖にこわばった顔が、鮮やかなコントラストとして観る者の心に焼き付くのだ。 今も忘れられないほどに大好きな人が姉の婚約者だったという、苦しい状況に立たされた凪沙。そんな彼女を絶望のどん底に突き落とす悲劇を生み出しているのが、実は愛する姉・沙帆だということが明かされて以降、まさにジェットコースターのように感情が乱高下するストーリーが展開する。凪沙と陽佑、そして沙帆の三角関係に一区切りがついた後の物語が描かれる#9では、凪沙が徐々に正気を失っていくさまを、それまでキラキラと輝かせていた瞳に底なしの闇を宿して演じきった山本の演技は必見だ。 また、モデルとしても活躍中の山本が披露する、さまざまなファッションも見どころのひとつ。さよならも言えずにいなくなってしまった初恋の相手・陽佑との再会を機に描かれる、姉プロデュースによる上品なオフィスカジュアルや、回想シーンでの女子高生スタイルなど、どんなコーディネートも見事に着こなしているのは、さすがの一言だ。 山本とダブル主演を務め、過去に囚われた悲しい女性・沙帆の狂気を見事に表現した瀧本の怪演も見逃せない本作。家族愛や姉妹愛を土台にしたからこそ、深い絶望を描き出すことができた、秘密と裏切りに満ちたノンストップ・ラブサスペンスで、山本の役者としての実力を思う存分味わってほしい。 文=中村実香
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