自民党「石破首相」ぼろ負けのウラで…アメリカ大統領選、ハリスを制した《2期目のトランプ》が日本に与える「5つの無理難題」【完全予測】
ハリスが勝っても「シビル・ウォー」のリスク
「あなたが目撃するのはフィクションか、明日の現実なのか?」 このように問いかけてくるのが、アメリカ社会の分断と内戦を描いた映画、「シビル・ウォー アメリカ最後の日」だ。 ただちに内戦とはならないまでも、ハリス氏が勝利した場合、トランプ氏や岩盤支持層と呼ばれる有権者たちは徹底抗戦するはずだ。 2020年がそうであったように、トランプ氏が敗北を受け入れず、アメリカ議会襲撃のような事件が起きたり、激戦州を中心に各地で訴訟に発展したりする恐れは十分にある。そうなれば、政治的空白が避けられなくなる。 バイデン大統領は8月7日のCBSのインタビューで、大統領選挙の後、穏やかに権限の移譲が行われるかどうかについて、「トランプ氏が敗北した場合は、全く確信を持てない」と強い懸念を示している。 アメリカ国内で進む分断は人種や階層の違いだけでなく、宗教面での対立も絡んでいるため、「トランプ支持派」と「反トランプ派」との妥協点や融和策は容易には見出せそうにない。このことも日本や国際社会にとってはリスクである。
米中のはざまで求められる次の首相候補とは
アメリカだけでなく、世界第2位の経済大国、中国も、景気が減速し、「習近平1強体制」に揺らぎが生じかねない状況だ。 その反面、台湾に関しては本島を包囲する形で軍事演習を行い、習氏は、台湾戦略で核ミサイルを重視する姿勢まで見せ始めた。 北朝鮮の韓国に対する敵対姿勢、ロシアを支援するための派兵、そして、イスラエルとイランの戦争に発展した中東情勢も、日本にとっては重大な懸念材料だ。 石破首相の得意分野は、外交・安全保障だが、衆議院選挙の結果を受け、もともと「ない」と言ってもよかった自民党内での求心力は、一気に遠心力に変わる。どの野党と部分連合をしようが、必ず行きづまる。もう長くはもたない。 自民党に関して言えば、筆者は早晩、先の自民党総裁選挙で惜敗した高市早苗前経済安保相(63)以上に、9人の候補者中4位と善戦した林芳正官房長官(63)の名前が、外相や防衛相などの実績が買われ、「次期総裁」として急浮上してくると見ている。 林氏の場合、石破首相を実現させ新たなキングメーカーとなった岸田文雄前首相(67)がどう考えるかにもよるが、筆者は、「ポスト石破」の1番手は、今回の衆議院選挙で応援した候補者が次々と落選した高市氏よりは、旧岸田派の林氏…このように思うのである。 現在、アメリカをはじめ東アジアや中東でも不透明な要素が多い。そんな中、日本の政治が、豆腐のようにふにゃふにゃした状態に陥ってしまったことが何より心配だ。
清水 克彦(政治・教育ジャーナリスト/びわこ成蹊スポーツ大学教授)