中国、ミャンマー国境の検問所封鎖 国軍を支援、食料や医療品など輸送制限
【バンコク稲田二郎】ミャンマー国軍に抵抗する少数民族武装勢力に圧力を加えるため、中国がミャンマーとの国境にある一部の貿易検問所を封鎖し、通行可能とする検問所でも商品の輸送に大幅な制限を課している。中国はミャンマー国軍との連携を強化しており、中国から武装勢力への食料や武器、医薬品などの流入を防ぐ狙いとみられる。 【地図】ミャンマー・シャン州と中国国境 複数の少数民族武装勢力は国境沿いを支配しており、中国と国境を接する北東部シャン州には、国軍と戦闘を続けてきた「ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)」などが拠点を置く。MNDAAは8月、同州にある国軍の北東軍管区司令部を占拠した。 米政府系メディア「ラジオ・フリー・アジア」などによると、シャン州の国境沿いでは7月から、電子機器やソーラーパネル、燃料などの持ち込みが禁じられ、複数の貿易検問所は封鎖された。これにより、武装勢力側は食料や医薬品、燃料などが不足。中国は電気やインターネットへのアクセスも制限している。10月に検問所で防弾チョッキやヘルメットが見つかってからは持ち込みチェックがさらに厳しくなっている。 シャン州北部向けの生活必需品を巡っては、ミャンマー軍政が輸送を阻止しており、市民は中国からの物資に依存してきたことから、影響が大きいという。 中国は、少数民族武装勢力による昨年10月の一斉蜂起は黙認したが、王毅外相が今年8月に軍政トップのミンアウンフライン総司令官と会談した際、武装勢力側を非難した上で現体制による総選挙の履行が望ましい、との考えを示した。この会談の前後から、中国のミャンマー国軍支援が強まっている。
西日本新聞