バブルに登場、ユーノスコスモは何もかもが破天荒 みんなが然とした日本の超名車
300psオーバーで登場していれば運命は変わったかも
注目の3ローターの20Bは、量産車としては世界初となる(マツダ談)シーケンシャルターボで、280ps/41.0kgmをマーク。シーケンシャルターボとは、大小2つのターボを装着するツインターボで、低回転域を小さなターボが担当し、高回転域になると大きなターボに切り替わる。これにより低回転域でのレスポンスがよくなる。 1989年にフェアレディZ(Z32型)が280psで登場。これにより『メーカー自主規制』という名のお上(当時の運輸省で現国交省)の強制により日本車のパワーの上限は280psとなってしまった。実際に20Bは300psオーバーも充分に可能だったが、泣く泣く280psに足並みを揃えたとう経緯がある。 この時に300psオーバーで登場していれば、さらなるインパクトになっていたのは間違いない。一方最大トルクには規制がなかったため、41.0kgmをマーク。これは当時、4L、V8のセルシオの36.0kgm、4.5L、V8のインフィニティQ45の40.8kgmを凌駕する日本車最高スペックとしたのはマツダの意地なのだろう。
3ローターの何がそんなに凄いのか?
3ローターといってもローターの数が2個から3個に増えただけで、何がそんなに凄いのか?と感じる人も多いだろう。実は筆者も当時3ローターの凄さはわかっていなかった。しかし、ロータリーエンジンはレシプロエンジンと違い、直4エンジンにシリンダーを2つ増やせば直6になるのとは違う。 最大のネックとなっていたのが、ロータリーエンジンの出力軸で、レシプロエンジンのクランクシャフトに匹敵するエキセントリックシャフトの強度。エキセントリックシャフトは、偏心しているため1本物の鋼材を削り出して作ることができず、寄木細工のように製作していたという。2ローターに比べてエキセントリックシャフトが長くなるため、その強度の確保は困難を極めた。それをユーノスコスモで実現したのだ。ロータリーの歴史はマツダの歴史なのだが、3ローターエンジンはユーノスコスモが世界初にして最後。動力源としてのロータリーエンジンではこの先も出てこないだろう。