年金受給は繰り上げがお得?保険料の軽減や給付金が支給される場合も!「住民税非課税世帯」の仕組みを解説
住民税非課税世帯の恩恵はある?
では、実際に恩恵があるのか?針田さんは大きく3つ挙げました。 1つ目は住民税を払わなくて済むこと。 2つ目は国民健康保険料や介護保険料の負担が7割減や5割減などかなり軽減され、1か月あたりの医療費や介護サービスに関する自己負担の限度額が減ること。また、75歳から加入する後期高齢者医療費の自己負担は2~3割ですが、これが1割となります。 3つ目は公共交通機関の料金が安くなったり、給付金が受けられたりするなど、国や自治体からさまざまな恩恵が受けられるというものです。
条件は住んでいる場所で違う
住民税非課税世帯の条件は基本的には所得によって決まりますが、実は自治体によって条件は異なります。住んでいる場所によって物価や所得に違いがあるため、基本的に都会は高く設定されています。 「級地制度」というものがあり、例えば愛知県ですと1級地は名古屋市、2級地は豊田市や岡崎市、一宮市などで、3級地は半田市や蒲郡市、犬山市などが該当します。 65歳以上で単身者の場合、1級地に住んでいると年間収入が155万円以下、2級地が152万以下、3級地が148万以下が住民税非課税世帯となります。 夫婦で暮らしている場合は、1級地は世帯主の年間収入が211万円以下、配偶者が155万円以下が住民税非課税世帯となります。 なお、世帯主も配偶者も両方条件を満たしている必要があります。 住民税非課税世帯になるかどうか調べるには、まず自分の住んでいる所の自治体の級地を知る必要があります。
繰り上げ受給で損する場合も
では、繰り上げ受給をするとどれぐらい年金は減るものなのでしょうか? 年金の受給は1か月単位で早めることができ、1か月ごとに0.4%減ります。自分の年金額がギリギリ住民税非課税世帯の基準を超えているようであれば、減らす価値はあるかもしれません。 ただ、針田さんは「年金額そのものが減る以外にもデメリットはある」と言います。デメリットは繰り上げ受給は途中でキャンセルができないこと、そして国民年金の任意給付や追加加入もできなくなるとのこと。 また、配偶者を亡くされている方は、65歳までの間は遺族年金と自分の老齢年金はダブルで受け取ることはできないので注意が必要です。これは身体障害者年金も同様とのことです。 そして、夫婦で年齢差がある方は加給年金、年間39万円多くもらえるという制度がありますが、これももらえません。 得をするか損をするかはその人によって異なりますし、これらの制度は変わることがよくあります。針田さんと北野誠は最後に「年金事務所や役所に相談した方が良い」とまとめました。 (岡本)