“ショートショート”を「5分後に意外な結末」に言い換えた児童書が500万部超ヒット! 現代の子供心をつかむ秘訣とは
2013年の発売以来、凄まじい売り上げを記録している児童書がある。Gakken(学研)が刊行する「5分後に意外な結末」シリーズだ。刊行から10周年にあたる2023年の学校図書調査では中学生の男女ともに「読んだ本ランキング」の1位に輝き、シリーズ累計500万部を突破している。 このシリーズを生み出したのが、同社の編集者・目黒哲也さんだ。目黒さんは、小学生を中心に大人気の「最強王図鑑」シリーズも手掛けており、こちらも累計400万部超の大ヒットとなっている。同社は「参考書や図鑑の、マジメな会社」というイメージが強いが、その枠にとらわれない人気作を多数生み出している目黒さんに、今どきの子供心をつかむ秘訣を聞いた。 ***
■「ショートショート」をわかりやすく言うと?
――『5分後に意外な結末』という作品はどのようにして生まれたのでしょうか。 僕が本好きになったきっかけは、小学生の頃に星新一さんの作品に出合い、それから筒井康隆さんに影響を受けたことでした。今の子供たちにもきっと「ショートショート」のような短編や「どんでん返し」のある作品の面白さは通じるだろうと思い、児童向けの短編集を出そうと考えました。 ただ、「ショートショート」という言葉は昔に比べて今の子供たちには伝わりにくいかもしれないから、他のわかりやすい言葉に置き換えてあげようと思ったんです。もちろん、「ショートショート」の魅力は、「意外な結末」だけではないんですが、「5分くらいで読めて最後に意外な結末がある」ということをストレートに言っちゃった方がいいだろうということで、『5分後に意外な結末』という機能的なタイトルにしました。 収録作品の中には1話読み終えるまでに5分以上かかるものもあれば、それ以下のものもあるでしょうが、あえて「5分」とタイトルに打ち出したのは、多くの小中学校で行われている「朝読書」の時間を意識したからです。 朝読書はどの学校もたいてい10分間ほどですので、子供たちにとって長すぎることがなく、場合によっては2~3話ほど余裕をもって読めるのが5分だろうなと思ったんです。