カルティエ、ピアジェ、ブライトリング…輝く「黄金」時計3選 バブリー? いえクール!
連載《ゼンマイ女子》Vol.18
ここ数年、徐々に人気復活ムードが高まってきた「イエローゴールド」の時計ですが、2024年、とうとう「ゴールド界」でトップスターに返り咲いたもようです! 【写真10枚】アートのようなカルティエの最新作、ジェンダーニュートラルなサイズのビアジェ、意外なコラボを実現したブライトリング…全部チェック! 「ゴールド界でトップスターに」と自分で書きながら、その世界わりと狭くない? とひとりツッコミを入れてしまいました(笑)。
かつて、それこそ1980~1990年代前半くらいまでは、ゴールドといえばイエローゴールドが普通で、華やかな時代のムードを映し出していましたね。 しかし2000年前後くらいから、ラグジュアリーウオッチやジュエリー界では、徐々にピンク系のゴールドが台頭。その色味はブランドごとに微妙に異なり、「ピンクゴールド」、「ローズゴールド」といったように名称もそれぞれですが、私も当時、「日本人には肌なじみがいい」という表現を原稿に多用していたものでした。 時代のムードとはすごいもので、2000年代に入ってから長い間、イエローゴールドはすっかり影をひそめました。新作に採用するウオッチブランドはあまりなく、手持ちのイエローゴールドの時計やジュエリーも、なんだかギラついているような、時代遅れのような、バブルを引きずっているイタい人のような気がして、着けるのに少し気が引けたりして。
■2024年の高級時計界 イエローゴールドラッシュに
でも! トレンドは繰り返すというのは真理ですね。近年、特に2022年あたりから新作にイエローゴールドを採用するブランドが増えだし、2024年のラグジュアリーウオッチ界はイエローゴールドラッシュ! そこには、興味深い傾向があります。 それは、ケースもブレスレットもオールゴールドでずっしり系ということ。てらいなく「金無垢(むく)」、あるいは「金時計」(笑)といったほうが伝わりやすいですかね。 金無垢や金時計って、昭和レトロな響きというか、なんなら「成り金」とか「悪趣味」といったネガティブなワードを連想させる、ある意味パワーワードです。でも今、ラグジュアリーウオッチ界で続々と登場している金無垢ウオッチは、もっと洗練されたクールなイメージです。 今思えば、その先駆けとなったのは、2023年秋に「オーデマ ピゲ」が発表した「ロイヤル オーク」の限定コレクションでした。 米国のファッションブランド「1017 ALYX 9SM」を率いるクリエイティブディレクター、マシュー・ウィリアムズとのコラボレーションによって生まれたこのタイムピース。フォルムやベゼルに配したビスといったロイヤル オークの重要なデザインコードは継承しているものの、ダイヤルには極限まで引き算を施し、50年以上を誇るその歴史の中で最もミニマルなデザインに。 私自身、それまで繊細なジュエリーウオッチは別として、金無垢ウオッチにあまりいいイメージを持っていませんでした。しかもそれがイエローゴールドなら……、心は「ドン引き」といってもいい時計人生でした。 それだけに、このオーデマ ピゲ×マシュー・ウィリアムズのロイヤル オークの登場は衝撃だったのです。イエローゴールドの金無垢ウオッチは今後、こんなふうにクールで洗練されたものになっていくのではないだろうかと予感しました。 なんか後出しじゃんけんみたいですが(笑)、イエローゴールドというテーマはこの連載を始めた1年ほど前から温めてきたものなのです。ここまで待ってよかった! というのも、2024年に入ってから続々と趣味のいい「シン・金無垢」ウオッチがリリースされているのです。