藤崎で絵画やアートを再現した西陣織作品の展示 インスタレーションも
日本と西洋の絵画やアートを西陣織で再現した作品を紹介する「日本の美・西洋の美を西陣織で」が10月31日、仙台の百貨店「藤崎」(仙台市青葉区一番町3、TEL 022-261-5111)本館7階で始まった。主催は同館と「西陣織あさぎ美術館」。(仙台経済新聞) 【写真】西陣織のインスタレーション「古今昼夜の水と波」 西陣織は京都の西陣で生産される先染めの紋織物で、多品種少量生産が特徴。1500年以上の歴史があり、1976(昭和51)年に国の伝統的工芸品指定を受けた。近年、需要低迷や職人の高齢化、後継者不足に伴う廃業による生産減、技術継承が深刻な問題になっている。 そうした西陣織を「世に残したい、世間に広めたい」という思いの下、2019年、京都・四条烏丸に「西陣織あさぎ美術館」が開館。丸帯、額装、びょうぶ、タペストリーなど、身にまとうだけではなくアートとして眺める西陣織の芸術作品を展示し、西陣織の魅力を発信している。 同展では、純金箔(きんぱく)や純金糸などを使い、一般的な西陣織の4~9倍の繊細さを誇る「1800口織ジャガード」で国内外の絵画作品を表現した丸帯、額装、掛け軸、タペストリー、びょうぶなどを展示する。 西陣織で再現した展示作品は、俵屋宗達「風神雷神図」、尾形光琳「紅白梅図」「燕子花図」「光琳かるた」、宮本武蔵「枯木鳴鵙(めいげき)図」、伊藤若冲「鳥獣花木図屏風(びょうぶ)」、喜多川歌麿「ホッピンを吹く娘」、東洲斎写楽「大谷鬼次」、葛飾北斎「凱風(がいふう)快晴(冨嶽三十六景)」、フィンセント・ファン・ゴッホ「ひまわり」「夜のカフェテラス」「星月夜」、グスタフ・クリムト「接吻(せっぷん)」、ジャック ルイ・ダビッド「アルプス越えのナポレオン」など。日本や京都の四季彩、仏教美術を織り上げた作品も展示する。一部は受注販売も行う。 国宝「日月山水図屏風」と俵屋宗達の「松島図屏風」を基に、絹糸のほか、本金箔とプラチナ箔、蓄光糸を使って制作した西陣織のインスタレーション作品「古今昼夜の水と波」も展示する。 塚喜商事(京都市)あさぎ事業部室長の名越聖さんは「身を飾る帯、おうちを飾るインテリア作品、心を残していただく掛け軸、可能性を追求したインスタレーションを通して、織物の素晴らしさを知ってもらいたい」と話す。「日本の着物はすごいと世界で評価されているのに着る機会が少なくなっているのは、値段が高いなどさまざまな要因があると思う。京都からメーカーが直接来ているので、どんなことでも質問してもらい、着物を着てみようかと思うきっかけになれば」と期待を込める。 開催時間は10時~19時(金曜・土曜は19時30分閉場、最終日は17時閉場、入場は閉場30分前まで)。入場無料。11月5日まで。
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