大阪・通天閣 45歳新社長が語る「仕掛け」を続ける理由
展望台のさらに上の屋根に新たな展望スペース。総工費は1億2千万円
2013年には「通天閣地下歌謡劇場」の跡地スペースに「通天閣わくわくランド」をオープン。店には江崎グリコ、日清食品など関西を代表するメーカーが店を連ね、劇場の舞台は残し、歌やパフォーマンスが披露される場に生まれ変わった。 2015年には、展望台のさらに上、屋根に金網をはって新たなスペースを生み出し「天望パラダイス」を作った。総工費1億2千万円。これまでガラス張りだった展望スペースでは写真が撮りにくいという声を受け思いついたという。
避雷針を伸ばして高さ上げたり、耐震を免震にする工事も
「昔ここには、通天閣のてっぺんにあるお天気ネオンへ続く階段が一つあっただけでした。総工費の見積もりには驚きましたが、工事関係者の方々はクレーンが使えないため、営業時間外に鉄骨を手で運んでくださったんです」と振り返る高井さん。 その甲斐あって、天望パラダイスは新たな人気スポットとなっている。さらにその上にあった高さ3メートルの「避雷針」を8メートルのものに付け替え、高さを108メートルにし、神戸ポートタワーの同じ高さにした。 同年には、通天閣の耐震構造を「免震」に変える、総工費は6億円の工事も実施。この工事はは、世界で初めて展望塔の免震改修だったことから、各方面からも注目を浴び、企画面以外でもマスコミでとりあげられるなど、仕掛け続けてきた。
縦がダメなら横へ「跳ね出し展望台」の設置
だが、その仕掛けはまだ終わらない。2019年12月には、先の天望パラダイスに幅1.5メートル、長さ5.4メートルのせり出しエリアを新設。その先端部分の足元はガラス張りのシースルーになっており、フェンス越しに風とスリルを感じながら大阪を眺めることができるようになった。 高井さんは「避雷針をつけたから高い場所はこれ以上無理かなと思いましたが『縦がダメなら横にしてみよ』と思いついて、跳ね出し展望台を作りました。これも総工費6千万円でしたが、風を感じられるし。ぜひ楽しんでほしいですね」と笑顔で語る。 これらのことを笑顔で話す高井社長だが、跳ね出し展望台は人数制限を設け、常に社員を配置するなど、安全面には細心の注意を払っている。