「カナダと米国は合併を」 首相辞意でトランプ氏がまた挑発
米国のトランプ次期大統領の就任が2週間後に迫った6日、カナダのトルドー首相が辞意を表明した。トランプ氏は「就任初日にカナダから輸入するすべての製品に25%の関税を課す」と訴える。カナダはレームダック(死に体)政権のまま、最大の貿易相手国による脅しへの対応を迫られる。 トランプ氏はトルドー氏の辞意表明を受け、ソーシャルメディアで「カナダが米国と合併すれば、関税はなくなり、税金は大幅に下がる。カナダを取り囲むロシアと中国の船からも完全に守られる。何という素晴らしい国になることか!」と投稿した。「カナダの多くの人々は(米国の)51番目の州になることを望んでいる」とも記した。 トランプ氏は関税引き上げを表明して以降、カナダを「51番目の州」、トルドー氏を「首相」ではなく「州知事」と呼ぶなど挑発を繰り返してきた。 トルドー氏はオタワで開いた記者会見で、3月24日まで議会を休会すると表明した。野党による解散圧力を避け、自由党の党首選びに集中し、秋までに実施される総選挙に向けて党勢を立て直す狙いがあるとみられる。 一方、支持率で自由党を引き離す最大野党・保守党のポワリエーブル党首は「リベラルの顔を入れ替えて有権者をだまし続けようとしている」と述べ、早期の政権交代を訴えた。 自由党内のポスト・トルドーは本命不在の状態だ。党首候補には、米国の関税対応を巡り辞任したフリーランド前副首相兼財務相▽アナンド運輸相▽ジョリー外相▽シャンパーニュ・イノベーション・科学・産業相▽ルブラン財務相▽カーニー元カナダ銀行(中央銀行)総裁――などの名前が挙がっている。【ニューヨーク八田浩輔】