父へのエールを込めて!”闘う経済アナリスト”森永康平、リングに立つ!
3月22日、老舗のレストラン、結婚式場として知られる『八芳園』(港区)では、意外なイベントが開催されていた。その名も、『EXECUTIVE FIGHT 武士道』。『K-1 WORLD MAX』で王者として3度輝き、格闘技界を彩った小比類巻貴之(46)がプロデュースするエグゼクティブ向けの格闘技イベントである。 なんとか闘病中の父の励みになれば、と…… リング上で闘うのは、ベンチャー企業のCEOや代表取締役など、各界のエグゼクティブたち。チャリティ・イベントでもあるが、チャラチャラしたイベントではない。全員が真剣で本気、ガチの闘いなのだ。 この日、“闘う経済アナリスト”を自称する森永康平(39)も参戦していた。康平の父といえば、昨年末にステージ4の膵臓がんを公表し、現在、がん闘病中の森永卓郎(66)。一週間ほど前にも、フライデー本誌でインタビューし、闘病中とは思えない元気な「森永節」を聞かせてくれたばかりだ。 試合会場は、本館・地下2階にあるパーティールーム。部屋の中には本格的なリングが設えてあり、リングまでの花道も用意され、リングを取り囲むようにパーティーテーブルが並べられている。 試合が始まった。森永康平は3組目に登場。相手は『医療法人社団円徳』理事長の北城雅照氏。医師であるが、コスチュームも凝っており、見た目に関しては、やや森永のほうが分が悪い。さらに、少々減量疲れが滲む森永に比べると、北城氏の身体は完全に仕上がっている。 ゴングが鳴り、試合が始まった。2分2ラウンドの試合である。全力で真剣に打ち合う双方の姿にこちらにも緊張感が伝わってくる。 時間をかけて鍛え上げられ、ギリギリまで仕上げてきた相手のほうが強そうだったが、いざ試合が始まってみると森永のパンチやキックもけっこうキマッている。技術は森永のほうが上なのかもしれない。 試合が終わり、判定を待つ。 まず一人目は、19対20で勝者北城。二人目は20対20のイーブン。三人目は19対20で勝者北城。 残念ながら、惜しくも判定負けであった。 「たまたま小比類巻さんとばったり会って、そこで誘われたんですよ」 これも縁かな、と快く引き受けた森永だったが、実際には2~3月のスケジュールが全部仕事で埋まっていたらしい。 「親父が出られない関係で、僕が代打で出る仕事がいっぱいありまして。当時、体重は69㎏あったんですが、食事制限だけでなんとか10㎏減量しました。わずか1ヵ月しかありませんでしたが。ただ、練習自体があまりできなかったので、今日も試合中にスタミナが切れたのがわかりました。相手も身体を仕上げてきてましたしね。そういう意味では1ラウンド目でやられちゃうかなと思ってたんですけど、なんとか立ち続けることはできました。倒れずに立っていられたというのは、よかったです。まあ結果的には負けましたけど(笑)」 森永はMMA(総合格闘技)もやっており、本業もあるため、大変なのは間違いない。それにしても、エグゼクティブと格闘技というのは、どう考えてもマッチングしているとは言い難いが……。 「『Meta』のマーク・ザッカーバーグとか『テスラ』のイーロン・マスクとかもやってますよ。やっぱり、身体を鍛えると気持ちも強くなります。そういう意味では、社長たちがやる気持ちもわかる気がしますね。僕自身、高校3年間ずっと柔道をやってましたし、大学でも2年間、空手をやってました。以降はずっと観る専門だったんですけど、去年あたりから実際に自分でやり始めて。実際にやっているからこそ、観てるだけよりも、『ああ、こうだよな』とわかる部分もありますからね」 先日、父の卓郎に会い、元気そうで驚いたことを伝えると、 「そうですね、年末は死にかけてたんですけどね。今の治療が合っているみたいで。でも足がむくんだりとか、がんの方特有の症状というのは出てきているみたいですけどね」 父の代役を務めることも多いというが、経済に対する見解はどうなのか……。 「マクロ経済ではけっこう一緒ですね。ただ、個人的にどうすればいいのかとなると別で。僕は、今は投資として積極的に仕掛けたほうがいいんじゃないかと思ってますけど、親父は投資なんかしちゃダメだというんで、その辺りで対立はしますね」 「今起こっている現象は人類史上最大のバブルだ」と言う父と、「現在の株価水準がバブルだとは思わない」とする息子。だが、共に庶民の暮らしを守り、格差社会をなくすためにどうすればいいかを考えている。 片や父親はがんと闘いながら、世の中に伝えなきゃいけないことを口角泡を飛ばして言い続け、息子はサポートしながら、こちらもまた闘っている。 そう、彼らは親子で闘っているのだ。 取材・文:小泉カツミ
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