国内敵なし、日立「鉄道売上高」今期1兆円超えへ ドーマー副社長インタビューで判明した全軌跡
■データ蓄積で優位を築く もっとも、IoTプラットフォームではシーメンスが先行している。鉄道への活用という点でシーメンスと日立のどちらが優れているのか。この点について尋ねると、「日立が優れていると言いたいね」と笑顔で答えた。その理由は、シーメンスは製造面での活用に注力しているが、日立は顧客の価値向上に力点を置いているからだという。 「直接、鉄道の話ではないのだが」と前置きしたうえで、一例として挙げたのは、英国の公共交通運営会社ファーストグループにEVバスのバッテリー充電マネジメントサービスを提供したことだ。乗客の利用動向、道路状況、天候などによってバッテリーの寿命は大きく変わる。これらのデータを分析してバッテリー性能を最適化し、寿命延長につなげる。「デジタル技術で最も重要なのはメインナレッジ、すなわち業界のことをよく知っているかということだ。デジタル技術はそれを手助けするツールである」。
ということは、データを蓄積すればするほど、次の顧客獲得展開で優位に立てることになる。ドーマー氏が日立に入社した当時、クラス395案件を受注することに無我夢中で、IEPを受注し、M&Aを重ねてここまで大きな存在になるとは夢にも思わなかった。しかし、現在は日立の将来像をしっかりと見据えている。
大坂 直樹 :東洋経済 記者