ごまかし・うそ・ずるが気になる小学生。どう注意すれば?【専門家監修】
【非力ゆえ、身を守ろうとするのが小学生の本能。ありのままを受け入れて安心させてあげて】 次に、普段の生活でいくつか心がけてほしいことがあります。 なんといっても、子どもが安らかな気持ちで安心して生活できるようにしてやることがとても大切です。 言い換えると、自分は愛されているという実感、ありのままの自分で許され受け入れられているという安心感、何一つ心配する必要はないという安らぎです。 成長期の子どもにとって、これほど大切なものはありません。 こういう気持ちで毎日生活できるようにしてやってください。 そうすれば、子どもの内側に、自分の存在自体を肯定できる自己肯定感と、自分を取り巻く世界や他者への基本的な信頼感が育ちます。 もし、その反対の生活だと、どうなるでしょうか? 何かにおびえて、不安な気持ちで毎日の生活を送ると、どうなるでしょうか? 自分はもっとしっかりしないと許してもらえないのではないか……。 こんなダメな自分は受け入れてもらえないのではないか……。 またきつく叱られるのではないか……。 もしかしたら自分はあまり愛されていないのではないか……。 お父さんやお母さんは自分のことがあまり好きではないのではないか……。 心配なことがたくさんある……。 成長期の子どもが毎日このような気持ちで生活することは、非常に問題です。 こういう気持ちで生活していると、自己肯定感や周りのすべてに対する基本的な信頼感を育てることができません。 それこそ、自分を守るために「ごまかし・うそ・ずる」を身に付けることになるでしょう。 子どもにはそれ以外にないのです。 子どもは本当に非力ですから、まず自分の身を守ろうとする本能があるのです。
【保護者の受容と共感が、小学生の子どもを素直にさせる】 ですから、子どもが安らかな気持ちで安心して生活できるようにしてやることが、まずもって大切です。 その具体的な方法が、受容と共感です。 子どもの話にも、子どものいろいろな行いや失敗にも、まずこの受容と共感をもって臨んでほしいと思います。 子どもが学校で叱られた話や友達とけんかした話をしたときにも、まず受け入れて共感してやることです。 そうすれば、子どもは何でも正直に話すようになります。 「しっかりやらないから、先生に叱られるんだ」「けんかの原因はあんたにもあるんじゃないの」などと、最初にお説教や指導がくると、子どもはたまりません。 それだと、子どもは、正直に腹を割って話すことは損なことだと思うようになります。 「ごまかし・うそ・ずる」で自分を守るようになってしまうのです。 まず、子どもの話を受容的に聞いて、「叱られて悲しかったね」「そう言われたら頭に来るよね」などと、たっぷり共感してやってください。 たっぷり受容的共感的に聞いてやって、子どもの気持ちが満たされた段階で、必要なら指導をするようにしてください。 そうすれば、子どもは素直に言うことを聞きます。 子どもが、登校前に国語の本が見つからないと困っているときにも、まずその困っている気持ちに共感して一緒に探してやることです。 まず、ピンチを救って安心させてやってください。 そして、そのあとで、これからそういうことがないようにするにはどうすればいいか、合理的な方法を一緒に工夫してください。 決して、「自分で困って懲りれば直るだろう」という自業自得方式で育てないでください。