センバツ高校野球 学法石川 直前の静岡合宿/上 「泥臭く1点」強み再確認 /福島
33年ぶりにセンバツに出場する学法石川は1日から静岡県沼津市で合宿を張っており、開幕に向けた調整に入った。石川町より温暖な地域で選手たちは汗をたっぷりと流しつつ、約3カ月ぶりの実戦で勝負勘を磨いた。 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 合宿が本格的にスタートした2日、沼津市の最高気温は11・9度。石川町は4・5度で、佐々木順一朗監督は「福島よりも倍も温かい。選手も自由に動ける」とほおを緩めた。小宅(おやけ)善叶(よしと)主将(2年)は「こんな良い所で練習できるなんて感謝しないと」と気合十分だった。ところが、初日は苦いものになる。 練習試合の相手、加藤学園(静岡)は2023年春の東海大会を制した強豪。先発の大友瑠(るい)(2年)が二回に4安打を浴び3失点して降板するなど投手陣がピリッとしない。野手陣の動きも硬く4失策を犯したほか、打線も計2安打と振るわず、0―9で敗れた。佐々木監督は「現状を思い知る良い機会」と冷静だったが、小宅主将や大友は「久しぶりの試合で力みがあった。どんな形でも点を取るという姿勢にも欠けていた」と悔しがる。 翌3日の相手は、プロも注目する身長197センチの大型右腕、小船翼(2年)を擁する知徳(静岡)。小船は初回から140キロ超の直球を投げ込んできたが、学石ナインは必死で食らい付いた。 待望の初得点は二回。先頭の佐藤辿柊(てんしゅう)(2年)が相手の失策で出塁すると、小沢陸蒔(りくじ)(2年)の犠打と小笠原涼太(2年)の進塁打で三塁まで進む。2死三塁の場面で打席に立った大友の当たりは遊前のゴロだったが、大友は一塁に頭から飛び込んで内野安打にすると、小沢が生還。泥臭く1点を先取した。 終盤に2点を奪われ逆転を許したものの、先発の佐藤翼(1年)と二番手の小宅がともに3回無失点とまずまずの出来を見せた。 加藤学園に大敗した夜、選手だけで1時間以上のミーティングを開いた。昨秋の東北大会のように、泥臭く1点をもぎ取るというチームの強みを再確認したといい、小宅主将は「チームのキーワードは『どうであっても』。甲子園では、どうであっても1点をもぎ取り、勝ちに行く」。武者修行を経て、選手たちは聖地で戦う顔になりつつある。【竹田直人】