関西演劇祭で最優秀作品賞(MVO)に選ばれた「エンニュイ」の脚本・演出は長谷川優貴氏
6年目を迎えスローガンも〝つながる演劇祭からひろがる演劇祭へ〟に改めた「関西演劇祭 2024」の閉会式が大阪・森ノ宮のクール・ジャパン・パーク大阪SSホールで行われ、各賞の表彰式を行い閉幕した。
10劇団が3公演ずつ上演し、6日間で計30公演の結果、最優秀作品賞にあたるMVOには「エンニュイ」が選ばれた。脚本・演出を担当する長谷川優貴(お笑いコンビ「クレオパトラ」)を中心に2017年旗揚げ。さまざまな経歴を持つ多彩なメンバーで結成。22年秋に新メンバーを加え、組合として再スタート。名付け親は「ピース」又吉で 「『アンニュイ』と『エンジョイ』を足した造語で〝物憂げな状態も含め楽しむ〟という意味を表している。長谷川はベスト脚本賞とダブル受賞で「この劇団はライブ感を大事にしているので、皆の協力のおかげ。脚本はあくまで設計図です」と喜びを語った。
最優秀主演男優賞と同女優賞にあたるベストアクター賞は、劇団さいおうば・小林アスマとfukui劇・大和ほなみが受賞。観客から最も支持された観客賞は女性アイドルユニット「つぼみ大革命」が受賞。作・演出を担当した「3時のヒロイン」福田麻貴は「アイドル公演は通常推してくれるファンの前で歌って踊るんですが、この演劇祭では全くグループを知らない方々の前で演じ、新たな手応えを感じられてうれしかった」とあいさつ。
ベスト演出賞にはfukui劇・福井しゅんやが選ばれ「ベスト脚本賞もほしかった。悔しい!」と表情をゆがめ、場内を笑わせた。
伊原六花アンバサダーは「元々ミュージカルが好きで舞台を見に行く機会が多かったんです。俳優になって上京し、勉強の意味で実演演劇を見る機会が増え、今ではオフの日は昼夜2本見たりしてさまざまな刺激を受けています。演劇祭では上演後のティーチインにも参加し役者としての広がりを感じることができました」と感想。板尾は「これまで5年間毎年10劇団がさまざまにつながってきたが、今年はネット配信での観客反応も大きかった。こうした広がりも来年以降もっと大事にして行きたい」と総括した。 (畑山博史)
審査員特別賞には、高校2年生から40年間「劇団☆kocho」を主宰し作・演出を担当し続けてきた桜さがみが受賞。板尾創路フェスティバルディレクターに「娘さんが新座長になって引き継ぐんですって?」とねぎらわれ、桜は思わず涙ぐみながら「長い間やってきてよかった。これで全て報われました」と目頭を押さえる一幕も。