「専業主婦・主夫」優遇は時代遅れ?共働きにシングルマザー…多様化する生き方に適した年金制度のあり方は
■共働き世帯は専業主婦世帯の3倍
2024年版「男女共同参画白書」によると、専業主婦は404万世帯、共働きは1206万世帯と、約3倍の開きがある。1985年時点では専業主婦936万世帯、共働き718万世帯だったが、1990年代に半々となり、2000年前後から差が大きくなっている。 薄井シンシア氏は、17年にわたる専業主婦の間は、3号被保険者だった。「子育てが終わり再就職して、2号になった」と、両方を経験した立場から「国連のレポートによると、無償労働はほとんど女性がやっているため、3号はあってもいいと思う」と語る。 少子化対策の側面もあるようだ。「女性が子供を産まないのは、みんな将来が不安だからだ。子供の未来は教育無償化などの政策があるが、産む女性自身への対策はない。共働きでも子供が不登校になれば、2~3割の人が離職するが、大抵は女性だ。女性のセーフティーネットとして3号がある」。 一方で、女性に対しては「3号があるからと言って、ずっと働かずに専業主婦をやると、女性の貧困につながる」と警鐘を鳴らし、「今は人手不足で、少し探せば仕事がある。3号から離れて、2号への移行にチャレンジしてほしい」と背中を押す。 荻原氏は、薄井氏のアドバイスが、すでに進みつつあると語る。「本人が働きたいかどうかに関わらず、サラリーマン家庭の収入がぜんぜん増えない。妻が働きに出ざるを得ない家庭も多く、専業主婦でも、昔に比べて4割ぐらいは働きに出ている。この流れが続けば、どんどん専業主婦は減っていく」。
■夏野剛氏「本当に働けない、助けたい人だけを対象に」収入ある人は全員、厚生年金加入を
近畿大学 情報学研究所の夏野剛氏は、「離婚率が30%を超え、専業主婦もいつまで結婚するかわからない現代において、この制度は時代遅れだ」と感じる一方、「メリットを受けている人がいるなら、発想を逆転させる」と提案する。 具体的には、現状は「年収130万円未満」となっている3号の加入条件を「30万円ぐらいにすればいい」という。「いろんな事情で働けない人は、100万円までも働けない。これを30万円や無収入に限定すれば、本当に助けたい人だけを対象にできる」とのアイデアを示した。 (『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部