「明確な答えは出てないんですよね」山田杏奈が信じていることとは

山田杏奈撮影／松島豊

──なるほど。さらに山田さんの活躍に期待が湧きます。ちなみに現在、そのお仕事がとても順調ですが、新作『正体』は「信じる」ことの強さが浮かびあがる作品です。山田さんはどんなことを感じましたか? 「この作品の取材で“あなたにとって信じるとはなんですか?”と、やっぱり聞かれるんですよね。それに自分自身、この作品を見た後もずっと“信じるってなんだろう”と考えています。でも明確な答えは出てないんですよね。 　ただ、漠然とこの人を信じたいと思ってしまう、みたいな、この人を信じたら何か自分自身も信じられるかもしれないとか、そういった人と人との思いが交わされていく感覚は、きっと伝わる映画だと思います。私自身、この映画に出ていろいろ考えているところです」 ──たしかに正解はありませんね。最後に改めて、山田さんが仕事人として大切にしていることを聞かせてください。 「表に出る機会があるのは私たち役者ですし、その役を演じるパートを任されているのも私ですが、現場では、その場所を作っている人たちがたくさんいて、その方たちみんなで作品を作り上げています。だからいろいろな人と話をしながら、役を深めていけたらと現時点の自分は思っています。また、そうしたやり方で現場にいるのが、いまとても楽しいと感じています」 　まっすぐ先を見据える山田さんは、まだ20代前半。これからもどんどん作品、役で魅了してくれるはずだ。 やまだ・あんな 2001年1月8日生まれ、埼玉県出身。2011年に少女漫画雑誌主催の『ちゃおガール2011★』オーディションでグランプリを受賞し芸能界入り。2018年、『ミスミソウ』で映画初主演。2023年の『山女』で第15回TAMA 映画賞最優秀新進女優賞を受賞した。2024年公開の映画『ゴールデンカムイ』においてヒロインのアシリパ役を好演し、現在はWOWOWにてシリーズのドラマ版である『ゴールデンカムイ -北海道刺青囚人争奪編-』が放送中。ほか主な出演作にドラマ『新米姉妹のふたりごはん』（テレ東）『17才の帝国』（NHK総合）、映画『小さな恋のうた』（2019）『ひらいて』（2021）『彼女が好きなものは』（2021）など。映画最新作は『正体』。 望月ふみ