年金を繰下げるとどのくらい増えますか? 月10万円の年金を1年・2年・3年繰下げたらいくらになるのでしょうか?
年金の「繰下げ受給」は、老齢年金を増やしたい場合に利用できる制度です。「繰下げ受給」では、老齢年金の受給開始年齢を繰下げることで年金額を増額できます。具体的に1年・2年・3年繰下げた場合には、それぞれどのくらいの増額が期待できるのでしょうか。 本記事では、「繰下げ受給」の概要と、月10万円の年金を1年・2年・3年繰下げた場合の、それぞれの年金額などを解説します。
「繰下げ受給」とは
「繰下げ受給」は、本来は65歳から受給できる老齢年金(基礎年金と厚生年金)の受給開始年齢を、65歳以後に繰下げて増額した年金を受け取ることができる制度です。繰下げられるのは66歳以後75歳までの間で、繰下げた期間(年齢)に応じて年金額が増額されます。 また、基礎年金と厚生年金の受給開始年齢を別々に繰下げることもできますし、どちらか一方だけを繰下げることも可能です。付加年金がある場合は、その年金額も増額されます。 ただし、「特別支給の老齢厚生年金」には、繰下げ受給がありません。そのため、特別支給の老齢厚生年金を受給する場合は、当年金の受給開始年齢に達した時点で、速やかに受給を開始する必要があります。
月10万円の年金を1年・2年・3年繰下げた場合の年金額
月10万円の老齢年金を「繰下げ受給」した場合の年金額は、繰下げ期間が1年で月8400円、同2年で月1万6800円、同3年で月2万5200円増額します。 【繰下げ受給を利用した場合の年金額の算出方法】 繰下げ受給を利用した場合の年金額を算出するためには、まず繰下げ期間によって変わる増額率(一生変わらない)を算出します。そのうえで、年金額に増額率を掛ければ、繰下げ受給を利用した場合の年金額が算出できます。 増額率の計算式は、「0.7%×繰下げ月数(65歳の到達月から繰下げ申出月の前月までの月数)」です。この計算式を使って計算すると、受給開始年齢を66歳0ヶ月まで繰下げた場合の増額率は、「0.7%×12ヶ月」で8.4%になります。 67歳0ヶ月なら「0.7%×24ヶ月」で16.8%、68歳0ヶ月では「0.7%×36ヶ月」で25.2%です。そのため、「繰下げ受給」の期間が1年なら、「10万円×8.4%」で月8400円増額できます。同2年なら「10万円×16.8%」で月1万6800円の増額、同3年であれば「10万円×25.2%」で月2万5200円の増額ということになります。