“ラグジュアリー疲れ”の富裕層も注目? 渋谷パルコ前にアスコット系列のホテル開業。「12平米の狭い客室」には理由があった
あえて狭い客室に
客室は全5タイプ、客室数は全200室。部屋の広さは12平米~と、ビジネスホテル程度のサイズ感だ。あえてコンパクトなサイズにすることで、共有スペースでの交流を促す狙いもあるという。 客室のデザインも、ロビーや共有部分と同様に本国シンガポールのデザインチームによるもの。ベッド上のアートやデスク上の小物にいたるまで、子ども部屋のような遊び心のある空間だ。 一晩過ごしてみての感想だが、意外にも部屋を窮屈に感じることはなかった。2階の共有スペースも作業場所として気に入っていたが、部屋に戻ってデスクで仕事をした時も、十分集中できる環境だった。 渋谷の一等地とあって眺望も気になる人も多いだろう。だが、このホテルは四方八方をビルに囲まれた立地なので、最上階であっても決して東京の夜景を楽しめるというわけにはいかない。せいぜい街ゆく人の流れを楽しむことができるくらいだろうか。ホテル選びに眺望を重視する人は、留意しておきたい点だ。ただ、8階以上からは、晴れの日は富士山も眺めることができた。 朝食は、2階に併設のカフェ「TO THE HERBS」で利用できる。エッグベネディクトやベーグルサンド、鮭定食などのメインを選んだら、サラダやパン、ドリンクなどはセルフで楽しむビュッフェ形式だ。 いわゆる従来の外資系ラグジュアリーホテルとは一線を隠す、肩肘張らないおうちのような雰囲気が魅力の「lyf渋谷東京」。実は他の拠点では「誰もが知る有名企業の社長」の利用もあったといい、“ラグジュアリー疲れ”する富裕層も注目する新業態となっていきそうだ。
荒幡温子