“ラグジュアリー疲れ”の富裕層も注目? 渋谷パルコ前にアスコット系列のホテル開業。「12平米の狭い客室」には理由があった
外国人観光客で連日盛り上がる渋谷に、新たにホテルがオープンする。渋谷パルコ前に12月19日より開業を開始するのは、シンガポール発アスコットグループの「lyf渋谷東京」。外資系ホテルと聞いて、ラグジュアリーなイメージを抱く人も多いだろう。しかし、どうやらこのホテルは違うらしい。 【全画像をみる】“ラグジュアリー疲れ”の富裕層も注目? 渋谷パルコ前にアスコット系列のホテル開業。「12平米の狭い客室」には理由があった
ホステルみたいなホテル
lyfは2019年にシンガポールで開業、以来全世界に30施設近くを拠点を構える。日本では、コロナ禍以降に福岡・天神と東京・銀座にオープンしており、渋谷は国内3つ目の施設となる。 今回試泊で滞在して分かったのは、ホステルを思わせる雰囲気だった。もちろん世界的なアスコットのブランドとあって、親切で丁寧なそのホスピタリティは一流だ。一方で、フレンドリーというキーワードもlyfを語る上で欠かせない要素であった。その理由を写真とともに紹介していこう。 1階ロビー部分に入ると、ビビッドなカラーでまとめられたインテリアとアートが出迎えてくれる。全世界にあるlyfの拠点もこうしたポップな色調が特徴だ。 通常チェックインする場所は、チェックインカウンターやフロントデスク、レセプションなどと呼ばれることも多い。だが、lyfでは「SAY HI」という名前がついている。その名の通り、挨拶をしに気軽にスタッフに話しかけてもらいたいという狙いからだ。 最近では、自動チェックインの機械を設けるホテルも多いが、Lyfではあえて設置していない。今後設置の予定がないとは言い切れないというが、それでも有人カウンターをなくすことはないという。 私も「ネイル可愛いですね」といったたわいもない会話から、同年代のスタッフと懐かしのキャラクターの話題で盛り上がる場面があった。lyfではフロントスタッフを「お客様の“相棒”」として捉えているとのことだが、こうした距離の近さは、まさにホテルというよりホステルに近いものを感じる出来事だった。 長期滞在者の利用も想定するlyfでは、充実した共有スペースも特徴の一つ。2階部分には、コインランドリー「WASH&HANG」やジムと卓球台が備わった「BURN」などがある。 中でも、ゲスト同士のコミュニケーションのきっかけを生む「BOND」は、コミュニティスペースの役割を果たす。電源完備のデスクと、長期滞在者向けのソーシャルキッチンが設けられている。 lyfではアンバサダー・オブ・バズというコミュニティマネージャーの役職を設けて、こうしたスペースの活用に力を入れる。その一例として、lyf銀座東京では宿泊者以外も参加できるイベントを多い時は月10回開催していたという。 lyf渋谷東京・支配人の井上絵梨氏も 「ホテルはガヤガヤしちゃいけないと思われているが、むしろそうしてほしい」と話す。客室とロビーの行き来で終わることも多いホテル滞在だが、ホステルの共有スペースの活気あふれる雰囲気を求めている人にとっては、むしろ家のような居心地の良さを感じる場所ではないだろうか。