【解説】魚介の水揚げ過去最低…サンマは「-96.8%」 「黒潮大蛇行」が過去最長に 対応策は「魚種転換」?
日テレNEWS
今、日本では魚介類の水揚げ量が減り続けていて、去年は過去最低となりました。背景には何があるのでしょうか。 ●食卓の定番が“激減” ●終わり見えない「大蛇行」 ●今後は「魚種転換」 以上のポイントを中心に詳しく解説します。
■海水温上昇に加え“乱獲” 伊勢エビの産地でも悲鳴
農林水産省の統計によると、去年の漁業と養殖業の合計生産量は385万8600トンで、前の年と比べて7.5%減少したことがわかりました。これは統計を始めた1956年以降、最低の数字です。 多くの種類の魚でとれる量が減っており、中でも長期的な減少が著しいのがサンマ、スルメイカ、サケです。ピーク時と比べると、サンマは-96.8%(1958年比)、スルメイカは-95.6%(1968年比)、サケは-69.4%(1996年比)となっています。 水産庁によると、理由は海水温の上昇だといいます。サンマとスルメイカに関しては他にも、中国や台湾、北朝鮮などによる乱獲も影響しているということです。
漁獲量が減少しているのは、“庶民の魚”だけではありません。高級食材で知られる伊勢エビの産地でも悲鳴が上がっています。 静岡・南伊豆町では毎年秋に町をあげて「伊勢海老まつり」を開催しています。今年は規模の縮小を検討するほど、伊勢エビの漁獲量が減少しているというのです。 南伊豆町の統計によると、漁獲量は2019年には30.9トンだったのが、2020年には21.6トン、2021年には17.8トンとなり、去年は15.8トンとわずか3年間で約半分に減っています。 理由については「黒潮の流れが変わって生息域が変化した」ことと「エサになる海藻が生息域で減少している」ことではないかとみられているといいます。
■「黒潮大蛇行」過去最長を更新中 なぜ長期化…
この黒潮の流れの変化を「黒潮大蛇行」と言います。これが海水温の変化にも大きく影響しています。黒潮は南から流れてくる暖流なので、流れているところでは水温が上昇します。 気象庁などによると2017年8月以降、黒潮の潮流が大きく曲がっているといいます。蛇行した黒潮の日本列島側では、水温がかなり低くなります。魚介類によって好む水温が違いますから、漁場が変わったり、今までとれていたものがとれなくなったりするといったことが起きます。 1965年以降、この大蛇行は6回発生しています。今回の大蛇行は、6年近く続き過去最長を更新中で、今のところ収まる気配はないそうです。