<第94回選抜高校野球>センバツ21世紀枠 候補校紹介/8 高松一(四国・香川) 効率重視で文武両道
プロ野球の西鉄ライオンズ(現西武)で本塁打王に5回輝いた「怪童」中西太さんを擁して、1949、51年の夏に4強入りした。ただ、センバツは春夏連続出場した49年を最後に70年以上遠ざかる。現在の選手数は13人。香川県内トップクラスの進学校は部員確保にも一苦労だが、勉強との両立に努めている。 全校生徒は約900人で、例年200人程度が国公立大に合格する。野球部も選手13人全員が国公立大への進学を希望し、午後7時半の練習終了後に長い夜を過ごす。学校近くなどの塾に通い、帰宅後も夜中まで勉強する。国立大医学部への進学を目指す三塁手の泉川拓望(2年)は「塾がある日は、寝るのは夜中の1時。勉強も嫌いではなく、時間がたつのは早いです」と笑う。 練習は1日に2時間程度。高松市中心部の特別名勝・栗林公園近くにある学校からバスで約30分かけてグラウンドに移動する。短い練習時間を補うため、指導陣は選手に練習内容の意図を理解してもらおうと努めている。例えば、公式戦は失策や四球絡みで敗れるケースが多いため、内野手には昨年の夏休み中にそれぞれ計3000本のノックを受けるように目標を掲げた。投手陣は変化球を含めてストライクを取るための投球練習を繰り返した。その結果、昨秋の県大会は甲子園に出場経験がある丸亀城西、小豆島中央を連破して8強入りした。宮武直史部長(27)は「頭の良い選手たちなので、練習の意図を理解すれば主体的に取り組める。それが実力の向上につながっている」と分析する。 野球と勉強の両立の励みになっているのが、ブラスバンドの応援だ。高松一は音楽科もあり、夏の香川大会では例年、名物応援曲であるドボルザークの「交響曲第9番『新世界より』第4楽章」の勇壮な音楽でスタンドを盛り上げてきた。エース右腕の池下颯真(2年)は、中学の頃にスタンドで聞いたブラスバンドの応援で進学を決意したといい、「コロナで実現していないが、あの演奏の中で野球をしたい」と目を輝かせる。 全国9地区の21世紀枠候補校に選ばれたのは第79回大会(2007年)以来で、今回の候補校で唯一の2度目。今度こそ甲子園切符をつかみたい。【伝田賢史、写真も】=つづく ……………………………………………………………………………………………………… ◇高松一 1928年創立で、香川県唯一の市立高校。野球部は30年創部。主な卒業生にバイオリニストの川井郁子さん、お笑いコンビ「ウッチャンナンチャン」の南原清隆さんら。