AIMタンパク質・IgM複合体の立体構造を解明 さまざまな疾患の治療薬開発に期待 宮崎徹氏の研究グループ
AIM医学研究所の宮崎徹所長らの研究グループは、動物の血中に高濃度で存在するタンパク質「AIM」と抗体「IgM五量体」が結合した複合体の立体構造を解明し、1日までに英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」オンライン版で発表した。 【図解】IgM五量体から外れない猫のAIM分子の模式図 AIMは体内にたまった老廃物など「ゴミ」の掃除を促進し、特に人間やネコの腎臓病治療に効果があることが注目されている。詳細な形状が分かったことで、AIMが体内の疾患をどのように認知して治癒させるかのメカニズムが今後明らかになり、さまざまな疾患の治療薬開発につながることが期待される。 AIMは通常、IgM五量体という抗体に結合した形で血液中を漂っているが、体内で炎症などの異常があるとIgM五量体から分離して活性化し、炎症の原因となる死んだ細胞の破片などのゴミを掃除する。特に組織の炎症が原因となる急性腎臓病は、AIMの炎症抑止効果で劇的に改善されることが確認されている。ただ、AIMが何をきっかけに疾患を認識し、活性化するのかは分かっていない。 今回の実験では超低温下で生体分子に電子線を照射する「クライオ電子顕微鏡」を利用、AIM本体だけでなくIgM五量体と結合している部分も含め、その立体構造を原子レベルに近いサイズで明らかにした。宮崎所長は「今後、IgM五量体の結合様式の理解を深め、AIM活性化の仕組みが分かれば、さまざまな新薬開発のきっかけにできる」としている。