NASAで起こった「最悪の事故」から学ぶべき“教訓” なぜ「100年に一度の出来事」が頻繁にあるのか
それでも、そこまでの計画をもってしても、誰も想定していなかった些細な出来事が大惨事を招く。 投資アドバイザーのカール・リチャーズはこう述べている。 「リスクとは、あらゆる可能性を想定し尽くしたと思ったあとに残っているものだ」 これこそ、リスクの真の定義だ。想像しうる限りのリスクに備えたあとに残っているもの。リスクとは、あなたには予想できないもののことなのだ。 ■宝くじに2度当たった女性の話 私たちが暮らす広い世界では、「めったに起こらない出来事」が起こる確率が低く見積もられやすい。心理学者でノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カーネマンは、かつてこう述べた。
「人間は、非常に大きな数字や非常に小さな数字を理解できない。その事実を認めたほうが何かと役に立つだろう」 イヴリン・マリー・アダムスは、1985年、ニュージャージー州の宝くじで390万ドルを獲得した。その4カ月後に再び当選し、さらに140万ドルを手にした。アダムスは『ニューヨーク・タイムズ』紙にこう語った。 「もう宝くじは買わないわ。ほかのみんなにチャンスをあげたいから」 これは当時大きな話題となった。というのも驚いたことに、コンピュータの複雑な計算によると、宝くじに2度も当選する確率は、なんと17兆分の1だったからだ。
しかし3年後、パーシ・ダイアコニスとフレデリック・モステラーという2人の数学者が、この熱狂に冷や水を浴びせた。 もし、宝くじを買うのが1人だけの場合、2回当選する確率は、確かに17兆分の1になる。 しかし、アメリカなどのように1億人が毎週宝くじを買う場合、誰かしらが2回当選する確率はかなり高くなる。ダイアコニスとモステラーは、それを30分の1と計算した。 この数字が大きなニュースになることはなかった。
■「一生に一度レベル」は定期的に起こる 「充分な数のサンプルがあれば、どんなとんでもないことだって起こりうる」とモステラーは述べている。 これこそ、世界があまりに突拍子もなく見える理由であり、また「一生に一度レベル」の出来事が定期的に起こっているように感じる理由の1つだ。 この地球上には、およそ80億の人間がいる。つまり、ある出来事が100万分の1の確率で毎日起こるとすると、1日に8000人の身に、1年に290万回、そしてあなたの一生のあいだにおそらく2億5000万回起こるはずだ。
たとえ10億分の1の確率の出来事であっても、あなたの一生のあいだに何十万という人々の運命を変える。 ショッキングな見出しに対するニュースメディアの飽くなき渇望を考えると、あなたがこうした出来事について耳にする確率は、ほぼ100パーセントだろう。
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