プロ野球団の元社長が、組織の壁をぶっ壊した「驚きの方法」とは?
ゴールドマン・サックスなど外資系金融で実績を上げたのち、東北楽天ゴールデンイーグルス社長として「日本一」と「収益拡大」を達成。現在は、宮城県塩釜市の廻鮮寿司「塩釜港」の社長にして、日本企業成長支援ファンド「PROSPER」の代表として活躍中の立花陽三さん。初の著作である『リーダーは偉くない。』(ダイヤモンド社)では、ビジネス現場での「成功」と「失敗」を赤裸々に明かしつつ、「リーダーシップの秘密」をあますことなく書いていただきました。リーダーだからといって「格好」をつけるのではなく、自分の「欠点」や「弱点」を素直に受け入れて、それをメンバーに助けてもらう。つまり、「リーダーは偉くない」と認識することが、「強いチーム」をつくる出発点だ――。そんな「立花流リーダーシップ」に触れると、きっと勇気が湧いてくるはずです。 【この記事の画像を見る】 ● 組織のなかに「壁」は必然的に生まれる 楽天野球団の社長になって驚いたことがあります。 スーツ組(営業、広報、総務、会計などビジネス周りを担当する社員)とユニフォーム組(野球チームをマネジメントしたり、選手の採用・トレードなど担当するスカウト陣をはじめとする、野球チームをマネジメントする社員)の間に、ものすごく分厚い「壁」が存在していたのです。 もちろん、部門間の「壁」というものは、組織には避け難く起きる問題であって、僕自身、これまでさんざん経験してきたものです。だけど、当時の楽天野球団は、「壁」というよりも、「断絶」と呼んでもいいほどの状況でした。 楽天野球団事務所が入っている建物の2階にユニフォーム組が入り、3階にスーツ組が入っていたのですが、スーツ組が2階を訪れることすらできなかったのです。そして、それが球団経営に大きな弊害をもたらしていました。 ● なぜ、営業部が頭を下げなければならないのか? 選手のサインひとつもらうのもおおごとでした。 たとえば、楽天野球団に多額の出資をしてくださっているスポンサーさんから、ある選手のサインボールを頼まれたとします。 すると、依頼を受けた営業マンから上司である営業部長に伝達され、営業部長がチーム側の管理部長に依頼。管理部長からその選手のマネージャーに伝達され、そのマネージャーから選手にサインを書くように指示が出されます。サインひとつもらうために、これだけのフローを経なければならないのです。 これが、プロ野球の“ど素人”だった僕には不思議なことに思えました。 なぜなら、管理部長が首を縦に振らないと、営業部は、サインをはじめとするファンサービスを選手に依頼することすらできないからです。 球団収益を支えてくださっている大スポンサーの依頼を受けるかどうかは、管理部長の一存にかかっているわけで、営業部としては、管理部長に対して平身低頭して頼み込むしかありません。そこに、理不尽な「上下関係」が生じてしまっているように見えたのです。