「中途で放り出すことはできない」…相反する「理想」と「経営」のはざまで奮闘する福祉系NPOマネジメントサイドの実態
NPOを存続させるために
今、営利目的の企業を立ち上げ、これが十年後まで存続するか否か、いわゆる「会社存続率」は、諸説あるものの設立3年で約7%、10年でわずか6%、20年でおよそ0.4%、30年経つと0.03%だといわれている。 営利の追及のみで成り立つ企業ですらこれだ。公共性高い業を営みつつ、ときとして営利も追及するNPOであれば、勢い、その数は厳しいものとなろう。 あくまでも記者の限りだが、この手の問題に詳しい界隈の人たちに聞くとNPOの平均寿命は概ね10年といったところか。 福祉とは継続性を旨とする。この界隈のNPOは、放課後の児童を預かるデイサービス、老人介護、障がい者の就労といった福祉を待ちわびている人たちへの責任を果たす義務がある。 NPOの経営難で、この人たちが放り出されるようなことになれば、そのツケは、はたして誰が払うのだろうか。高齢者や障がい者が増加しているといわれる今だからこそ、逃げずに向き合いたい問いだ。 (敬称略) 郡司 晴雄(ぐんじ はるお)/NPO法人「たんとの会」副理事長(事務局長兼任)1973年東京都生まれ。大学卒業後、民間企業を経て、障がい者小規模授産施設の職員を皮切りに福祉界入り。以来、福祉の世界ひと筋。独立しNPO法人を設立。現在に至る。
秋山 謙一郎(フリージャーナリスト)