授業参観で「起立、礼、着陸!」 苦い思い出 同級生はセレブの子女、友達は減っていき 話の肖像画 夢グループ創業者・石田重廣<5>
中学生になっても成績は低迷したままでしたが、うちの両親は律義なことに授業参観に参加するわけです。来なくていいのに、って思っていました。授業で先生は相変わらず僕は指さず、飛ばしますからね。僕は体が大きくて、教室は一番後ろの席で、参観日には同級生のご両親たちの「なんであの子、飛ばされるの」「授業の妨げになるから」という声が聞こえるわけです。これではさすがにうちの両親がかわいそうだと思って、少し勉強してみようとなったの。
で、母親に頼んで福島大学の学生さんを家庭教師につけてもらった。それからは猛勉強ですよ。当時は学年で成績の順番をつけていて、1年生のときはビリから3番目。それが70番台、40番台と上がっていった。成績が上がると、先生方は僕の言うことを聞いてくれるようになったんです。今まで相手にされなかったのに「石田はそう考えているんだ」「頑張っているからいいよ」と。成績が上がると、大人の対応というのはこうも変わるんだなと思いましたね。
中学3年生になると、テレビ番組で桜田淳子、山口百恵、森昌子の「花の中三トリオ」の大活躍が始まりました。これは衝撃でしたね。同学年ですよ。かたやブラウン管の向こう側の華やかな世界で歌を歌っている。で、かたや地味に勉強している。羨(うらや)ましいなと思ったの。
悶々(もんもん)としていたら、「スター誕生!」っていうオーディション番組があって、ここで合格すれば芸能界への道が開かれることを知った。そして「スター誕生!」が郡山で開かれるという。で、僕ははがきを出して、出場の申し込みをしたんです。運命が少し、動き始めました。(聞き手 大野正利)
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