授業参観で「起立、礼、着陸!」 苦い思い出 同級生はセレブの子女、友達は減っていき 話の肖像画 夢グループ創業者・石田重廣<5>
《教育熱心な両親に感謝しつつ、極端な倹約生活に反感を抱いていた小学校時代。「授業参観」で苦い思い出が…》 両親から期待してもらっていたのですが、成績は3段階評価で「C」ばかりで、体育だけが唯一の「A」。授業では指名されず、飛ばされていました。気にしてはいませんでしたが、授業参観のときはさすがに両親に申し訳なかった。 こんなことがありました。何年生のときか忘れましたが、授業参観日にたまたま日直だったんです。朝のあいさつで号令をかけたのですが、「起立!」「礼!」と、ここまではよかった。で、次になぜか「着陸!」と言ってしまったんです。前回も話しましたが、同級生は病院長や大学教授、経営者の子女ばかり。教室の後ろで参観しているご両親たちはざわついていました。 悪いことに僕はこのころ、「さしすせそ」がうまく言えず、「ちゃちちゅちぇちょ」になる。で、「着陸!」に続いて「ちぇんちぇい、おはようございまちゅ」となった。後ろのご両親たちは「何なの、あの子は。ふざけているの」「うちの子とは友達にならないほうがいいんじゃない」と顔を見合わせています。案の定、友達は次第に減っていきました。 《体育もとうとう「C」に》 小学6年生のときです。通信簿がオール「C」となってしまいました。さすがに両親に渡しにくい。体を動かすのはクラスの誰よりも得意だったので、「なぜなんだろう」ってなりますよね。で、先生に聞いたんです。そうしたら厳しい顔で「石田、お前はサッカーの試合で味方のゴールにシュートを決めただろ」と話してくれました。 確かに同級生たちが上手でなく、あまりに試合が面白くなかったので、味方ゴールにボールを蹴ったことがありました。先生は続けて、「いいか、サッカーにはルールがあるんだ。試合ではそのルールに従わないとダメなんだぞ」と言う。ルールを守ることが評価の対象になる。僕はその後、人生のいろいろな場面でルールと対峙(たいじ)することになりますが、このとき初めてルールの存在について考えさせられました。 《中学2年生で一念発起》
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