初代ガンダムの白色は「本当の白」じゃない? 主役メカとして「異例」だったデザイン
「シャアザクがピンク色なのは絵の具が余っていたから」←ウソ?
そういえば未だに「シャアザクのピンクは絵の具が余っていたから」「シャアザクのために作った色」などの誤情報も根強いようですが、まさにどちらも「真っ赤な嘘」。 シャアザクのR50という番号のピンクは、私の知る限りでも『ガンダム』の4年前に同じスタジオで作られていた『勇者ライディーン』のカラーチャートにすでに入っていて、サンライズ(当時)では脈々と使われてきた色です。 それに必要に応じて太陽色彩さんに注文して届けてもらう絵の具を、シリーズ通しで使わねばならぬような余り方などさせることはありません。 また、当時はまだ家庭に残っていた白黒TVや新聞のラテ欄などのモノクロ表示では赤は黒く映ります。一方、青は白くなります。味方は白っぽくて、敵は黒っぽい。当時はまだまだ子供が主要ターゲットだった時代。こうした配慮も「色」を決める際の大切な要素になるのです。 ガンダムのBWも、シャアザクのR50も、色のプロがさまざまな情況を考慮して決めたものです。公共の電波に乗せて放送される番組制作の裏は、けっこう面倒くさいのです。 【著者プロフィール】 風間洋(河原よしえ) 1975年よりアニメ制作会社サンライズ(現・バンダイナムコフィルムワークス)の『勇者ライディーン』(東北新社)制作スタジオに学生バイトで所属。卒業後、正規スタッフとして『無敵超人ザンボット3』等の設定助手、『最強ロボ ダイオージャ』『戦闘メカ ザブングル』『聖戦士ダンバイン』『巨神ゴーグ』等の文芸設定制作、『重戦機エルガイム』では「河原よしえ」名で脚本参加。『機甲戦記ドラグナー』『魔神英雄伝ワタル』『鎧伝 サムライトルーパー』等々の企画開発等に携わる。1989年より著述家として独立。同社作品のノベライズ、オリジナル小説、脚本、ムック関係やコラム等も手掛けている。 2017年から、認定NPO法人・アニメ、特撮アーカイブ機構『ATAC』研究員として、アニメーションのアーカイブ活動にも参加中。
風間洋(河原よしえ)