今日J開幕。補強に成功したチームはどこだ!
天皇杯を制してクラブの悲願でもあった初タイトルを獲得したヴィッセルは、これまでの大型補強を封印。即戦力の獲得を、J1通算で46ゴールをあげているFWドウグラスだけにとどめた。天皇杯制覇を置き土産に引退した元スペイン代表FWダビド・ビジャの穴を埋める補強で、32歳のブラジル人ストライカーは開幕前の公式戦ですでに2ゴールをマークしている。 大きな動きを見せなかったのは、昨年6月に就任したドイツ人のトルステン・フィンク監督の方針でもある。昨夏にベルギー代表DFトーマス・フェルマーレン(FCバルセロナ)、GK飯倉大樹(マリノス)、そしてDF酒井高徳(ハンブルガーSV)が加入。課題だった失点の多さが解消され、右肩上がりの軌跡へと転じたなかで天皇杯、FUJI XEROX SUPER CUPを制した流れが重視された。 初めて参戦しているACLでもグループリーグで連勝をマーク。バルセロナおよびスペイン代表で一時代を築いた司令塔アンドレス・イニエスタも好調を維持し、昨シーズンの終盤戦から続く公式戦連勝を「8」に伸ばしたなかで迎えるリーグ戦でも、決して侮れない存在になるはずだ。 大穴的な存在ではロシアワールドカップ代表のDF昌子源を、トゥールーズFC(フランス)から電撃的に獲得したガンバ大阪となるだろうか。前線ではストライカー役に徹する宇佐美貴史が昨シーズンの終盤から大きな存在感を放っているだけに、右足首痛を完治させた昌子が最終ラインに復帰し、課題でもある守備が安定してくれば、上位陣に食い込む化学反応が起きる可能性は十分にある。 同じ図式はガイナーレ鳥取でJ3の、アルビレックス新潟ではJ2の得点王を獲得してきたFWレオナルドが加入したレッズにもあてはまる。開幕に先駆けて16日に行われた、ベガルタとのYBCルヴァンカップ予選リーグでも2ゴールをゲット。興梠慎三に依存しきっていた昨シーズンの攻撃陣に新たな脅威が加われば、底力があるチームだけに非常に面白い存在になるかもしれない。 補強に対して最初の答えが出る開幕節は3日間にわたって開催され、ここまでにあげたレッズ以外の5チームはすべて23日の日曜日に登場。マリノスはホームでガンバといきなり激突し、FC東京とアントラーズはともにアウェイで清水エスパルス、サンフレッチェとそれぞれ対峙。ヴィッセルはホームに昇格組の横浜FCを迎えるなかで、12月5日まで続く長丁場の戦いの火ぶたが切られる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)