今日J開幕。補強に成功したチームはどこだ!
J1開幕に先駆けてグループリーグの2試合を終え、連勝発進したACLで1トップを拝命したのがオナイウだった。19日のシドニーFC(オーストラリア)戦では、先制点を含めた2得点をマーク。3年目の指揮を執るアンジェ・ポステコグルー監督の独特の戦術にフィットしてくれば、闘志あふれるプレーで仲間を鼓舞する水沼とともに、J1連覇へ向けても大きな上積みになるはずだ。 首位を快走しながら9月以降の9試合で3勝3分け3敗と失速し、2位でリーグ戦初優勝を逃したFC東京は、シーズン途中に移籍したMF久保建英(マジョルカ)の穴を最後まで埋められなかった。加えて、9ゴールをあげて日本代表にも復帰したFW永井謙佑が右肩を脱臼。昨年12月に手術を受けるも全治までに約4カ月を要すると診断され、大きく出遅れることが確定している。 必然的にオフの補強は攻撃陣が中心となり、鹿島アントラーズからレアンドロを期限付き移籍で、J2に降格したジュビロ磐田からはアダイウトンを獲得。過去2シーズンで27ゴールをあげている絶対的エース、ディエゴ・オリヴェイラを加えたブラジル人トリオの破壊力を3トップで生かすために、長谷川健太監督はシステムを従来の[4-4-2]から[4-3-3]へ変えている。 昨シーズンのFC東京の総失点29は、サンフレッチェ広島と並んでJ1で2番目に少なかった。元日本代表のGK林彰洋やDF森重真人を中心とする堅守は健在なだけに、ブラジル人トリオが機能し、永井の復帰とともにさらなるオプションが加われば、これまでとは違ったFC東京が見られるだろう。
一時は首位に立ちながらも失速し、3位に終わったアントラーズは後半戦に入ってけが人の連鎖に泣いた。特に戦線離脱者が続出した左右のサイドバックを中心としたオフの補強は、クラブの現状に見合った戦略であり、J1勢のなかで最も成功したクラブと言っていい。 左サイドバックは他のクラブとの争奪戦の末に永戸勝也をベガルタ仙台から、東京五輪世代の杉岡大暉をベルマーレから獲得。右サイドバックには昨シーズンの前半戦でマリノスのレギュラーを担った広瀬陸斗を加え、さらにセンターバックとしてリオ五輪代表候補の奈良竜樹を川崎フロンターレから、攻撃の万能プレーヤーとして和泉竜司を名古屋グランパスから獲得している。 ヴィッセル神戸に屈した元日の天皇杯決勝をもって大岩剛監督が退任。バトンを引き継いだブラジル人で、現役時代は柏レイソルでプレーした経験をもつザーゴ新監督が「やるべきことが多すぎて」と嬉しい悲鳴をあげているように、新メンバーを加えたチームはまだフィットしていない。 1月28日にはACLプレーオフでメルボルン・ビクトリー(オーストラリア)に敗れ、本大会に進出できない屈辱も味わわされた。ただ、逆の見方をすればJ1リーグとACLを並行して戦う過密日程から解放されたことで前者に集中し、戦いながらチームを熟成させることもできる。 1996年から強化の最高責任者を務める鈴木満取締役フットボールダイレクターは、出遅れる事態も織り込みながら「秋口から勝負をかけられる体制になれば」と、これまでとは異なる青写真を描く。もちろん上位戦線に食らいつきながら、という条件がついていることは言うまでもない。