服部樹咲、初主演作封切りに感無量 「ミッドナイトスワン」から成長して「10センチ背が伸びた」
「ミッドナイトスワン」で注目を集めた服部樹咲の長編映画初主演となる「BISHU 世界でいちばん優しい服」の初日舞台挨拶が東京・TOHOシネマズ日比谷で行われ、服部とともに岡崎紗絵、長澤樹、黒川想矢、田中俊介、吉田栄作、西川達郎監督が出席した。 【フォトギャラリー】舞台挨拶に立った服部樹咲 愛知県尾張西部から岐阜県西濃にまたがり、世界三大毛織物の産地として世界的に注目を集める尾州地域を舞台にした本作は、尾州ウールの織物工場を営む家族の物語を描いたドラマ。服部演じる史織には発達障害があり、明るく誰に対してもフレンドリーな反面、生活習慣へのこだわりが強く苦手なことも多い、という役柄だ。 大勢の観客が集まった客席を見渡した服部は「本日はわたしの長編映画の初主演作品なんですが、観に来てくださってありがとうございます」と感慨深い様子で挨拶。さらに初日を迎えた思いを「準備段階から撮影中も、今までも、ずっと主人公の史織のことをすごく大切に思い続けてきたので、こうして皆さんにお届けできて、どんな世代の方たちが見に来てくださって、どういうご感想をいただけるのかがものすごく気になって仕方がなくて……、今はすごくワクワクしています。監督と、共演者の皆さんと、心を込めて大切に作った優しい映画なので、皆さんがニコニコしながら帰ってもらえるような。癒やされて帰っていただきたいなと思っています」と呼びかけた。 本作で印象的なシーンについて「機織り工場のシーン」と明かした服部。「機織り工場には本当にたくさんの機械があって。手順を覚えたり、細かい手作業を覚えたりと、することが多くて。なかなか難しくてできなかった。あらためて職人さんがどれだけ素晴らしいのか、すごいのかと知る機会となりました」と語ると、「それと糸の結び目をなるべく目立たないようにする結び方があって。それが劇中にも出てくるんですが、それがとても難しくて。お父さん役の吉田さんとずっと一緒に練習していたのがすごく思い出に残っています。わたしは本当に不器用で」と照れ笑いを浮かべた。 だが西川監督は、「そうはおっしゃいますが、本当に難しい作業なんですよ。それをあっという間に覚えて、簡単にやられていたんで絶対に手先は器用だと思いますよ。でも不器用だと言い張るんですよね」と笑いながら反論。吉田も「僕は覚える時間がなかったので、(服部と)競争しても勝てないんですよ。だから手先は器用だと思いますよ」と太鼓判を押したが、それでも服部は「わたしは不器用だと思っていますが、がんばりました」と返した。 是枝裕和監督の「怪物」で数々の賞を受賞した黒川は、史織と同じくコミュニケーションが得意ではないが、そんな中で史織と心を通わせていく少年を演じている。「撮影の前にハンディキャップを持った人との交流会に行かせてもらったんですが、ものすごく共感できる部分がたくさんあって勉強になりましたし、いい経験になったなと思います」と述懐。服部も「わたしも一緒に行ったんですけど、本当にいろんなお話が聞けて。それこそ史織の動きなども、そこでいろいろとお話を聞いて監督と一緒につくりました」と続け、さらに西川監督も「当事者のお話もそうですし、医療監修に入っていただいた方にお話を聞いたりとか、実際に美咲ちゃんにも歩いてもらって。こういう動きをするんですけど、どう見えますかと聞いたり。そのあたりは本当に丁寧につくっていきました」と付け加えた。 そんな中、「ミッドナイトスワン」で共演した田中は、服部の成長ぶりに驚きを隠せなかったという。「『ミッドナイトスワン』から4年ぶりの再会だったんですけど、めちゃくちゃ大きくなっていてビックリしました。当時は何歳だったの?」と田中が尋ねると、「13歳でしたね。今より、身長が10センチ低かった」と返答し、会場もビックリ。「でも本当に背丈だけでなく、現場に入ったら史織がいたので。ものすごくカッコいいなと思って。僕はそこで、親戚のおじちゃんじゃないけど、泣きそうになってうれしい。がんばって樹咲ちゃんという思いになりました。今日は家に帰ったら、おいしいお酒が飲めます」としみじみ喜びをかみ締めている様子の田中に、「わたしも成長したねと言っていただけてうれしかったです」と服部も笑顔をのぞかせていた。