高級腕時計「パネライ」の“希少性が高い”モデルを一挙出し。腕時計投資のプロが「中古614万円でも“安い”」と断言するワケ
◯エントリー1: PAM00021
これこそが、パネライ限定モデルの元祖。先程も紹介したロレックスのデッドストックムーブメントを搭載するモデルであります。裏蓋はいわゆる「裏スケ」仕様となっているのですが、PANERAIと表記されたケースの中に収まっているROLEXと書かれたムーブメントがたまりません。 また、ケース素材はプラチナとなっているのですが、実はパネライにおいて「プラチナ」という要素もまたレア。現在では、通常ラインナップとしてプラチナモデルが存在しているのですが、遅くとも2010年頃までにおいて「プラチナモデル」はほぼ展開されていなかったのです。 なおこのモデル、当時の雑誌を私が調べてみたところ、そもそもが抽選販売だった模様。新品時から入手難易度が高かったモデルであるため、中古市場にはめったに出てきません。 そんなPAM00021でありますが、直近では2022年1月に中古売り出しがあった模様。その際の価格は約614万円でした。 ロレックスデッドストックムーブメント搭載、なおかつめったに売り出されないモデルとして、この614万円という価格は「安い」と私は思ったのですが、すぐに売れるという状況にはならず、少なくとも1ヶ月以上にわたって売られている状態が続いていたのです。 1999年の雑誌に記載されていたPAM00021の新品時の価格は400万円(税別)。そうなると、1999年から2022年までの上昇は200万円程度となります。他の人気モデルの場合、1999年との比較では価値が「倍以上」となる事例が珍しくありませんから、PAM00021は意外と評価されていなかったといえます。ですから、今後同じような水準でこれが出できたならば、「買い」だと思っている次第です。
◯エントリー2:PAM00066
これはラジオミールのバケットダイヤ文字盤モデルなのですが、当時のラジオミールとはケース形状が若干異なるという特徴を備えています。ラジオミールは2004年頃まで、パネライのフラッグシップモデルという位置づけで、ラインナップされたモデルはK18がメイン。今のロレックスでいう「デイデイト」のような存在でした。 初期リシュモン時代のパネライは、通常モデルのムーブメントがETAが基本だったのですが、ラジオミールにはゼニスベースのムーブメントを搭載。それが、この限定ダイヤモデルとなると、更に豪華な「フレデリックピゲ」ベースのムーブメントを搭載していたのです。 ちなみに、ゼニスはLVMHグループ、フレデリックピゲはスウォッチグループ傘下でありますが、2000年代前半頃までは、親会社が違っても各社がムーブメントを供給していたため、リシュモングループであるパネライに、これらムーブメントが搭載されていたのです。 しかし、今ではパネライにフレデリックピゲのムーブメント使うというのは、考えられない組み合わせ。そういったことからしても、このPAM00066はデッドストックムーブメント搭載モデルに近い「レア感」があるといえるかと思います。 また、デッドストックムーブメントを搭載するモデルには、クロノグラフが多いのですが、かつてパネライはクロノグラフのラインナップ自体が稀で、ラジオミールのクロノグラフは、これら限定モデルにしか存在しませんでした。そのため、かつて「クロノグラフのラジオミール」は、それ自体が「激レア」ということがひと目で分かったのですが、2005年頃からは通常モデルとしてクロノグラフモデルがラジオミールに存在。そのため、今の価値観では、希少なデッドストックムーブメント搭載モデルは、ひと目で「特別な存在」と分かりづらくなっています。 もちろん、デッドストックムーブメントのパネライは、今でも評価が高く、なおかつその格好良さ、輝きは今でもかつてと全く変わりないといえます。しかしながら、ダイヤモデルについては、クロノグラフのように通常展開された形跡がないため、2024年現在でもひと目で「見たこと無いパネライだ!」となります。 ですから、そういった分かりやすいレア感が、ダイヤ文字盤のパネライにあるわけで、その最高峰ともいえるラジオミールが、今とても輝いて見えるのです。 なお、現在このPAM00066は中古で売られているのですが、その価格は約284万円。いわゆるロレックスの人気モデルと同価格であるため、私は「買い!」だと思っているわけです。 ということで、レアパネライをお伝えしてきましたが、ラグスポといったいわゆる人気モデルに飽きてしまった時計ファンたちが、次に「ハマる」腕時計として、とても良い存在ではないでしょうか。 <文/斉藤由貴生>