武田 陸玖（山形中央）

　2024年が幕を開け、センバツの足音も聞こえはじめてきた。昨年、高校球界でもさまざまな印象的な出来事があったが、都道府県ごとにベストシーンを思い出してみよう。 【一覧】決勝・日大山形vs山形中央のスタメン 【選手権山形大会決勝・日大山形vs.山形中央】 　プロ注目左腕が涙した。昨年夏の山形大会決勝で、優勝候補として注目されていた山形中央が逆転負けして、9年ぶりの夏の甲子園出場を逃した。日大山形は1対3で迎えた7回に一気に5得点。プロ注目の山形中央・武田 陸玖投手（3年）を攻略して2年ぶりの夏甲子園を手にした。 　6回まで1得点に抑えられていた日大山形打線が、疲れが見え始めていた武田に襲いかかった。7回、2四球と失策で得た2死満塁のチャンスで、背番号3の代打・小野 彰太郎内野手（3年）が中前打を放って同点にすると、その後に4安打を浴びせた。怒濤の5連打で一気に試合をひっくり返した。直球、変化球に関わらず、各打者が上からたたいたゴロがいいところに飛んでヒットが連なった。 　わずかな隙を突かれ、不運もあって逆転を許した武田は、142球11安打の完投も夢の甲子園には及ばなかった。打つ方では大会5試合で21打数11安打、1本塁打7打点と活躍するなど、二刀流でチームを引っ張ったが、甲子園デビューは夢と消えた。 　武田はその悔しさを晴らすように、台湾で開催されたU-18W杯で投手としても野手としても活躍し世界一に貢献。秋のドラフトでDeNAから3位指名を受けた。プロでの活躍に期待される。